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童貞見聞録

アラサーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

「正直さ」と「寛容さ」

テレビ・ラジオ

僕は子供のころからテレビが好きで、大人になった今でも良く観ている。

 

最近は、動画サイトやストリーミングサービスが発達して、テレビを持たない人も多いと聞いて少し残念に思っている。
「テレビが面白くなくなった」という言葉が聞かれるようになって久しいが、僕はそんなこともないと思う。
皆さん、単に「テレビをあまり観なくなった」というだけではないか。

 

テレビに出ている方々の中で、ダントツで面白いと思う人物が二人いる。
黒柳徹子さんとタモリさんだ。
このお二人は、僕の人格形成にも多分に影響を与えているし、お二人に代表していただく形で世に訴えたいこともあるので、少しまとめてみたいと思う。

 

 徹子の部屋

黒柳徹子さんといえば、言わずと知れた長寿番組「徹子の部屋」が有名である。
放送開始から40年を超えて、今なお、平日お昼に多彩なゲストを迎えたトークをお茶の間に届けている。

 

この番組は、元から好きではあったのだけれども、特に就職して独り暮らしを始めた辺りからは、毎日録画して観るようになった。
もちろん、ゲストにも興味があるのだが、それ以上に徹子さんの在り方が素晴らしい。

 

先日、元メジャーリーガーの石井一久氏がゲストの回が放送された。
彼自身も、野球が好きではない(本人談)にも関わらず、あれほどの成績を残し、現在は吉本興業に勤めるというなかなかの曲者である。
その彼が、メジャーリーグ時代に、打球が額に当たって大怪我をしたというエピソードを語ったときの黒柳さんの返しが素晴らしかった。

「普通、避けるわよね?」

まず、前提として、黒柳さんは野球に詳しくない。
あの王さんに対して「バットのどこに当てたらホームランになるのか」と聞いたくらいである。
つまり、どれくらいのスピードで打球が来るのかを知らない。というか想像できない。
彼女の発言に対して「石井さんを馬鹿にしているのか」と憤慨する人もいるかもしれないが、そうした批判はお門違いである。
ただただ、彼女は純粋にそう思ったからそのように返答したのだ。

自分がその瞬間に思ったり感じたりしたことを、曖昧にせず言葉にできることは、簡単なことではない。
普通は、自分の内面を晒すことを恥じて、無知を隠すものである。
彼女は自分の無知をきちんと理解し、かつ、それを恥じずに発言できる稀有な存在なのだ。
僕はその「正直さ」は美徳だと思う。
その「正直さ」ゆえ、ゲストは心を開き、視聴者は楽しく話を聞くことができると思うのだ。

 

テレフォンショッキング

タモリさんの番組を選ぶのは難しかった。
ボキャブラ天国」「タモリ倶楽部」「ブラタモリ」「ヨルタモリ」…
彼がメインの番組はいずれも素晴らしい。
ただ、黒柳さんの「徹子の部屋」と対になる、お昼の看板インタビュー番組(コーナー)といえば、やはり「笑っていいとも」内のテレフォンショッキングコーナーだろう。

 

僕は、テレフォンショッキングに関しては忘れられない映像がある。
結構大人になってから某動画サイトで偶然観たのだが、調べると1983年12月1日の放送らしい。
コーナーが始まったときに、観客の男性が壇上に上がってゲスト席に座ったのだ。
観客席から悲鳴が上がる中、スタッフに取り押えられて彼はフレームアウトする。
印象的なのはタモリさんの反応だ。

 

タモリさんは実に楽しそうなのだ。
何なら芸能人のゲストを相手にしているときよりもずっと。

 

生放送だし、単に慌てず和やかな雰囲気を無理やり維持していただけという見方もあるかもしれない。
しかし、「何か喋りたいことがあるの?」と問いかけてみたり、予定調和が崩れた瞬間を心底楽しんでいるように、僕には見えた。
タモリさんはそもそも、マンネリや内輪向けのネタを嫌い、新鮮さを求める人という印象があったのだが、この映像を観たときに、その前提には、恐ろしいほどの「寛容さ」があるのだと悟った。
ちょっとおかしなことをする人に対する眼差しがとても暖かい。

 

 

 

最近、インターネット上のニュースやコメントを見ていて、「正直さ」と「寛容さ」の欠如を強く感じている。
芸能人のブログには、炎上を恐れて当たり障りのない言葉が並び、結婚やグループ脱退の報告はほぼテンプレートが完成されつつある。
一方で、大衆側は、ゴシップネタに過剰なまでに反応して、芸能人を活動自粛に追い込むケースも少なくない。

 

何て生きづらい世の中なのだろう。
僕は、自分自身が異常であると思うから余計にそうなのかもしれないが、窮屈に感じている人は少なくないと思う。
だから、世に強く訴えたい。

 

黒柳徹子のように「正直」であれ。

タモリのように「寛容」であれ。