童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

愛は光

先週、Negiccoのベストアルバムを購入した。

Negicco 2011~2017 -BEST- 2 [CD+Blu-ray Disc]

Negicco 2011~2017 -BEST- 2 [CD+Blu-ray Disc]

 

彼女たちにとっては2枚目のベストアルバムで、結成15年目に突入という日に発売された記念碑的な一枚になっている。
以前から彼女たちの楽曲は好きだったのだけれども、CDを購入するのは今回が初めてだった。
改めてじっくり聴いてみると、質が高く面白い楽曲が多くて、とても良い買い物だったと満足している。

しかし、中でも出色の出来栄えだと思うのが、本作唯一のオリジナル曲「愛は光」だ。
アイドルソングの歴史に名を遺す傑作であることは間違いないと勝手に思っている。
この名曲の素晴らしさについて、まとめておこうと思う。

 


Negicco「愛は光」(作詞・作曲 堀込高樹、編曲 KIRINJI)

 

「愛は光」は、このベストアルバムのために、KIRINJIの堀込高樹氏がNegiccoのために書き下ろした一曲だ。
楽曲としても、KIRINJIらしい穏やかで暖かな一曲に仕上がっているのだが、やはり何と言っても素晴らしいのは歌詞だろう。
1番だけ載せておく。

この舞台から 臨むフロアは

まるで小さな銀河

サイリウムが 儚く揺れてる

ひしめき合う星の群れ 素敵ね

 

ダイヤモンドも

ガラスのビーズも

光があるから輝くの きっと

 

ああ、私が月なら太陽はあなたよ

光は愛、愛は光ね

それこそが本当のことです

ああ、私だって太陽 あなたを照らしたい

授かった愛を輝きに変えよう

惜しむことなく

こんなにもNegiccoの、ひいてはNegiccoファンに寄り添った歌詞はないだろう。
わざわざ解説を書くことも興ざめな気がするが、あえて書くとこうなる。

月は、太陽の光によって輝く。
月たるNegiccoは、ファンの光があるから輝ける。
でも折角もらった光(愛)だから、精いっぱい輝いてファンを照らしてあげたい。

 

Negiccoは、ボトムアップに徹してきたグループだと思っている。

彼女たちがそれを望んでいたかどうかは別として、巨大資本の投下とか知名度を上げるようなイベントがあったわけではなかった。
どちらかと言えば不遇の中で、とにかく地道に、自分たちで振り付けをしたり、演出を考えたりしながら着実に力を付けてきた。
地元を大事に、ファンを大事にして、「これで大丈夫?」「本当に喜んでくれてる?」と一歩一歩踏みしめながら進んできたのだ。
そしてファンはそれを、ずっと見守ってきた。
2014年「光のシュプール」でついにオリコン週間シングル10位内に食い込み、今では全国放送のCM(サトウのご飯)で狸コスプレを観られるようにまでなった。
ずっと応援してきたファンにとっては感慨も一入だろう。

そんなNegiccoおよびファンに対して、まさにご褒美のような一曲だと思う。
僕なんかは完全なライトファンであるわけだけれども、ファンとしての愛が大きければ大きいほど、この一曲の浸透率は高いはずだ。
この曲を歌えるNegiccoも、この曲を歌ってもらえるファンも、本当に幸せだと思う。
アイドルソングの一つの到達点のような気がしている。
サビでまずファンが太陽であることを指摘して、その上で自分達も「照らす」のではなく「照らしたい」としているところが何ともNegiccoらしい。
彼女たちの奥ゆかしさと同時に、これからまだまだ照らしたいという秘めた野心も感じられる。
ここまでNegiccoというグループを理解して、これ以上ない名曲で応えた堀込高樹という作曲家の才能には、本当に驚かされる。

 

それにしても、この一曲と、ある意味反アイドルソングである「アイドルばかり聴かないで」が両立しているという、このアルバムの懐の深さというかバランスの良さと言ったらない。


Negicco / アイドルばかり聴かないで MV(full ver.)

Negiccoの名前をアルファベットに分けて元気に呼びかけていた彼女たち(トリプル!WONDERLAND)が、サビの最後に申し訳程度に「ねぎ」と付ける(ねぇバーディア)位に成長していく。
もう大きな声でグループ名を言わなくても皆付いてきてくれるという、余裕や信頼が感じられる、そんな軌跡が分かるのも楽しい。

つまり何が言いたいかと言うと、

ねえ、そんなにアイドルが好きなら

じゃあ、Negiccoにしてね

 (「アイドルばかり聴かないで」より)
ということだ。