童貞見聞録

アラサーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

タダより高い物はない

第1シーズンに引き続き、「ねほりんぱほりん」を楽しみに観ている。
元々「ねほりんはほりん」という特別番組からスタート、満を持してレギュラー化された第1シーズンでは、放送時に必ずTwitterのトレンドワードに挙がるほど話題を集めていた。
所謂、覆面インタビュー番組なのだが、顔出しできないことを逆手にとって、人形劇と組み合わせたという大変画期的な番組である。
ゲストも「ハイスぺ婚女子」や「ナンパ教室に通う男」など、際どいところを攻めていて、なおかつ素晴らしい人材を拾ってきている。
インタビュアーである山里亮太さんとYOUさんが、ちゃんと危ないゲストも受け入れて視聴者が食べられるように料理してくれるので、安心して観ていられる。
毎週笑ったり泣いたりしながら、終わった後は不思議と寛容さが身に付いて人に優しくなれるという、まさにEテレに相応しい教育番組になっている。

www4.nhk.or.jp

さて、そんな「ねほりんぱほりん」で、先日「パパ活女子」の回が放送された。
いつものように面白かったのだけれども、この回を観ていて、僕は言い知れぬ恐怖感に襲われた。
テレビを観ていてここまで怖いと思ったことはなかなかなかったので、番組の紹介がてら記事にまとめておこうと思う。

 

パパ活女子」とは、上のツイートの通り、お金持ちの年上男性とデートすることで小遣い稼ぎをする若い女性のことである。
ゲストの女性は、5人の「パパ」と付き合いがあり、月に総額50万近くを受け取っているらしい。
そのパパの内の一人は、月に30万くれて、なおかつ引っ越し費用なんかも出してくれるそうだ。
それでも肉体関係は結んでおらず、引っ越した部屋にすら上げていない。
曰く、

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ということである。
彼女には、こうした「パパ」達とは別に、ちゃんと彼氏もいる。
当然パパ活のことは黙って付き合い続けているわけで、金銭的にも精神的にも満たされたいという若い女性の欲の深さとは斯くばかりかといっそ感心してしまった。

ここまでは、女性が若さを元手にいかに金銭を産み出しているか、ということが語られているのだが、番組は後半、急速に恐ろしい展開を見せる。

パパ活が彼女に残した負の遺産は、大きく分けて二つある。
一つは、労働に対する価値観の歪みである。

麻薬という表現を使っているが、ギャンブルとかFX、あるいは遺産相続などで思わぬ大金を得てしまった場合になりがちな状況である。
もう一つは、人間(特に男性)に対する信頼感の喪失である。

まさに自業自得なのだが、今の彼氏と仮に結婚したとしてもいずれは…と考えずにはいられない思考になってしまっている。

この二つは割と重大なことだと思う。
最早、彼女はこの先、自分で働いて得たお金を使う喜びも、信頼で繋がった家庭の安心感も、もしかしたら生涯失ってしまったのかも知れないのだ。
そう考えると、彼女の払った代償はかなり大きいと言える。

そして、インタビューが進んでいくと徐々に明るみに出てくるのだが、5人のパパの中で突出して大金をくれている男性に対して、彼女の中に既に引け目のようなものが生まれてしまっているのだ。
引っ越し費用まで出してもらっておいて家に上げないのは流石に…とか、ここまでしてもらって「はい、さようなら」というわけには…とか。
それに、単純に危険である。
仮に相手が実力行使に出てきたり、ストーカーになってしまったら?
彼女自身、パパ活は若い内にしかできないという意識があるようだけれども、続けてきた関係をどうやって着地させるのか?
もう、止めたくても止め方が分からない状況に陥っているのだ。

 

彼女がこうした状況に陥ってしまった根本的な原因を考えてみると、実は肉体関係の有無に行きつくのではないかと思っている。
彼女は上の画像の通り、体を許さないところにプライドを持っているようだが、むしろ体を許していれば事態はもう少しましだったのではないかと想像する。

彼女は、良くも悪くも「普通」の感覚を持った人間なので、心のどこかで、何もしていないのにお金を受け取ることへの違和感が拭えないのだろう。
そのことが、様々な弊害を生んでいる。
もし、これが体を許していた場合、金銭はある意味その「対価」になるので、全く別の感覚になるだろう。
もちろん、援助交際を肯定する意図はないが、少なくとも金銭の授受をめぐる圧倒的なアンバランスさは多少弱められたはずなのだ。

考えてみると、「対価」の感覚は、人間の心理の重要な位置を占めている気がする。
例えば、上記とは逆に、想定をしていない「対価」を支払われることで不具合が生じる場合もある。
友人が旅行に行くので、その間ペットを預かったとしよう。
その場合に、旅行から帰ってきた友人が、お世話になったお礼にと言って現金を渡してきたとしたらどうだろうか。
多分僕は、少なからずショックを受ける。仲の良い友人であれば余計に。
お土産なら良い、でも現金は嫌だ。
自分の親切が、比較可能な「対価」になること(値段を付けられること)が、気持ち悪さの正体だと思う。

「対価」の感覚が狂うことが、人間にどれほどの影響を及ぼすのかを見せられた気がして、大変印象深い放送だった。
余りの危うさで視聴者に強烈な恐怖と不安を残した彼女の運命が、今後良い方向に転がっていくことを願うばかりだ。
毎週このレベルの味わい深さを提供してくれる「ねほりんぱほりん」は、やはり教育番組として極めて優れていると言わざるを得ない。
しばらくはアンコール放送が続くが、12月からは新作「ヘリコプターペアレント」「元子役」が放送予定で、今から非常に楽しみである。

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