ダラダラしている内に年が明けてしまった。
年の終わりに1年を振り返ることもできず、それどころかタイトルだけ付けた記事を幾つも残したまま、2018年を迎えてしまった。
何だか情けないスタートになって恥ずかしいのだけれども、今年も無理せずマイペースに続けられたら、と考えている。
とりあえず、2017年の決算を終わらせるところから始めたい。
まずは、音楽振り返り。
上半期からこっち、また幾つもCDを購入して、幾つも名作に出会った。
一通りまとめておく。
「Q」女王蜂
以前から気になっていたバンド、女王蜂が4月に発表したアルバムを数か月遅れで購入して、そこからしばらく聴き倒した。
買おうと決意したきっかけは二つあって、一つはボーカルのアヴちゃんと演出振付家MIKIKO先生の対談、もう一つは収録曲「金星」のパワーだ。
上の対談でも本人の口から語られているように、まさに「叫び」。
命を削って、それでも歌わないではいられないのだろう、ということが分かる渾身の一枚だった。
全部が彼らの音と言葉だから、彼らの手以外では再生不可能だと思う。
ヴィジュアル的には日本人離れした雰囲気を持っているのに、音楽的には実に日本的なわらべ歌をモチーフにしていたり、とても面白い。
圧倒的なオリジナリティで心を鷲掴んで、物凄い力で体を躍らせてきて、良く聴くと引き裂かれそうな叫びが綴られているという。
楽しくて、感動で、でも切なくて悲しいという、他のアーティストではあまり体験できない感情にさせられる。
上に貼ったのはシングルバージョンの「金星」だが、アルバムに収録されているFeat. DAOKOも素晴らしい。
「TLC」TLC
高校から大学にかけて、TLCが突然好きになり、ベストアルバムを聴きまくっていた。
T-Boz、Left Eye、Chilliという完璧なバランスの三人組。
楽曲、パフォーマンスは勿論、ファッションなんかも尖っていて大好きだった。
布教のためにもベタな曲を2曲貼っておく。
TLC - Waterfalls (Video Version)
T-Bozのノイジーなのに癖になる歌声と、Left Eyeのアニメ声のラップ、Chilliの流れるような美しいコーラス。
ユニゾンで歌うと独特のうなりみたいなものが合って、TLCでしか味わえない感覚がある。
Perfumeに出会うまで、3人組の最強は僕の中でずっとTLCだった。
個人的には、Left Eyeも存命の状態で、Perfume FESにTLCが出る瞬間を是非観たかった。
そんな彼らが、今年、15年ぶりのアルバムを発表したのだから買わないわけにいかない。
2人になってしまってはいるが、間違いなくTLCの音で、しかも新たな挑戦も感じられる素晴らしい1枚だった。
やはり、メインボーカルT-Bozの存在が大きいのだろう。
どうしたって、かつてのようなバランスにはならない。
それでも、TLCは健在、という感じがするのは、オリジナリティの柱になっていた彼女の声があるからな気がする。
「Negicco 2011~2017 -BEST- 2」Negicco
このアルバムについては、既に収録曲「愛は光」に対する感動を記事に残している。
Perfumeをずっと応援している人間からすると、Negiccoはちょっと無視できないグループの一つだ。
Perfumeが数年前までMCを務めていたNHKのMUSIC JAPANという番組、その前身となるPOP JAMにおいて2004年に二組は共演を果たしている。
そこから3年後、地道にファンを広げていたPerfumeはポリリズムによって一気にお茶の間に浸透、翌年には超名盤「GAME」が発表されて、その人気は確固たるものになった。
一方で、Negiccoは大きなブレイクの波に乗ることはなかったものの、努力を重ねてじわじわと人気を上げ、ついに2014年「光のシュプール」でオリコントップ10に。
同時期に出てきた地方アイドルという他に、どちらも、メンバー自身がしっかりとグループそのものの舵取りに参加していて、でもチーム全体に誰のエゴも出てこない感じが共通していると勝手に思っている。
少なくとも、カリスマによるトータルプロデュースとか大資本の投下による大規模商業展開とは一線を画していた。
ボトムアップで育っていく感じが、「いま」応援することの意味を強くする。
だからこそ、両グループ共通のファンはとても多いし、2015年の11年振りのMJ共演とPerfume FES三人祭は、忘れられないイベントだった。
彼女たち自身もまた、ずっと交流を続けていることが嬉しい。
上の過去の記事でも書いたことだが、本作は、そんなNegiccoの魅力がぎゅっと集まったアルバムになっている。
一つだけ難点を挙げるとするならば、2017までとしておきながら、「愛、かましたいの」が入っていないことだろうか。
悔しいので、ここに貼っておく。
Negicco「愛、かましたいの」MV 作詞・作曲 堂島孝平 編曲 石崎光(cafelon) (2016/12/20 release)
「A Moment of Madness」Izzy Bizu
ラジオで「White Tiger」を聴いて即買いした1枚。
どうも僕は、UKのハスキーボイスに弱いらしい。
彼女自身が公言するようにAmy Winehouseの影響も強く感じるけれども、個人的には大学生の頃良く聴いていたCorinne Bailey Raeを思い出した。
1枚を通して、彼女の声の素晴らしさを堪能できるのと、単純にとても音が良いと感じる。
「White Tiger」は勿論、「Naïve Soul」もかなり好きだ。
Izzy Bizu - White Tiger (Official Video)
「レキミ」レキシ
レキシさんのアルバムは昨年、「Vキシ」を購入してそれなりに聴いていたのだけれども、他のアルバムと比べてヘビロテというほどは聴いていなかった。
そんな中、9月に参加したPerfume FES名古屋公演で初めてレキシLIVEを体験。
そこで披露された「大奥~ラビリンス~」に一発で心を持っていかれてしまった。
購入してみると、他にも、「古墳へGO!」「甘えん坊将軍」と余りの名曲の数々に何故今頃になって、と悔しくなってしまった。
歴史になぞらえた歌詞も楽しいが、やはりそれ以上にトラックが素晴らしい。
そして、そのファンキーな雰囲気はライブで完成されるということを知ってしまった。
今年は是非また、生でレキシを体感しに行きたい。
「MODERN TIMES」PUNPEE
多くの人と同じように、僕がPUNPEE氏を認識したのは、宇多田ヒカルさんの名曲「光」のREMIXだった。
宇多田ヒカル - 光 -Ray Of Hope MIX- (Remixed by PUNPEE)
この曲がキングダムハーツシリーズのテーマソングに起用され、まさにゲームの世界観と噛み合っていて、素晴らしい才能だと感心していたのだが、アルバムを聴いてみてその親和性の正体が何となく理解できた。
「MODERN TIMES」は、老いぼれたPUNPEE自身が自らの栄光の過去を思い出す、という体で進んでいく。
この老いぼれPUNPEEの語り口が、まさに古き良きディズニーの雰囲気なのだ。
子供の頃に良く行った東京ディズニーランドのスプラッシュマウンテンの待ち時間を思い出す(年寄りの鳥がウサギどんの活躍を語る場所がある)。
そう感じ始めると、中身の曲たちもメロディやアレンジ、バックトラックにも昔のディズニーの香りが漂っているように聞こえてくる。
可愛くて甘い中に毒を含んでいるようなあの感じ。
その意味で、スクウェアとディズニーが結びついてできたキングダムハーツのテーマソングとして、抜群の存在感を放つことは約束されていたようなものだ。
また、音楽は、元々土着のものとして発達していくものなので、「どこ」産かということはとても重要な音楽の要素だと思っている。
特に、HIPHOPは、いわゆる「地元」を大事にする音楽という印象がある。
PUNPEEはまさに、板橋印のついたトラックメイカーとして、出自が明らかになっているところが清々しい。
板橋区は、名誉区民としてPUNPEEを支援する義務があるだろう。
「THANK YOU BLUE」DAOKO
海外にいながらJ-POPのレビューを精力的に行っているAlexさんが「ShibuyaK」を絶賛していたのをきっかけに知って、以来ずっとアルバムの発売を待ち続けてきた。
2年間待ったせいか既発の曲が多くなってしまったが、それでもなかなか面白い一枚に仕上がっていて、暮れから現在までずっと聴き続けている。
彼女らしさが光る「さみしいかみさま」や「ShibuyaK」、「同じ夜」なんかも勿論良いのだが、岡村ちゃんとコラボした「ステップアップLOVE」など、個性の強い他アーティストともオリジナリティを損なわずにすんなりハマるところに驚いた。
DAOKO × 岡村靖幸『ステップアップLOVE』MUSIC VIDEO
そして、既に散々聴いていた曲ではあるが、「BANG!」は出色の出来栄えだと思う。
Gwen StefaniとかBEPとして活動してた頃のFergieのような女性が日本人についに現れたと嬉しかった。
もちろん、彼女たちのような存在を目指したグループやアーティストはいたと思うが、単なる真似っぽくなってしまったり、どうしても気恥ずかしさみたいなものが漂っていた。
それを、ここまで堂々と、しかもちゃんと和製なものとして提示してくれている感じがして、ビデオも含めてかなりお気に入りの一曲だ。
ちなみに、好きになった後で知ったのだが、DAOKO氏の振付もMIKIKO先生がつけているそうだ。
自分が如何にMIKIKO先生が好きかということを再認識させられた。
終わりに
挙げていく内に、あれもこれもと増えていってしまった。
もう少し単発でも書いておかないとまとめ作業が大変になるばかりだ。
発売されてすぐの方が、少しは宣伝効果もあるかも知れない。
定期的にまとめるにせよ、今年はもう少し、こまめに記事にしていこうと思う。