童貞見聞録

アラサーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

「徹子の部屋」2017年BEST3

総決算のやり残し2つ目。
2017年も、徹子の部屋を追いかけ続けた1年だった。
毎週末、次の週の分の徹子の部屋をまとめて録画予約し、時間を見つけて消化する日々。
正直、忙しい時にはどうしてもHDDを圧迫して、段々と貯まっていくのを負担に感じることもないではなかった。
ただ、やはり月に2-3回くらいはかなり面白いと思える放送があるので、結局やめられないでいる。
2016年に引き続き、超個人的な視点からBEST3を決めておく。

第3位 ゲスト「野際陽子」追悼特集2017年6月16日放送

野際陽子 賀来千香子

彼女の死は、2017年に日本を襲った訃報の中でも、最もインパクトのあるものの一つだろう。
徹子の部屋にとっても極めて大きな意味を持っている。
野際さんは、徹子さんにとってNHK時代から続く長年の大親友であり、徹子の部屋のゲストとしても女性では最多である。
6/13に亡くなられて、この追悼特集は6/16に放送されている。
段々と古くからの仲間が旅立っていってしまう中、それでも番組を続け、追悼特集という形でテレビの中でも死を悼むこと。
徹子さん自身、使命感のようなものを背負って働いておられるように感じる。

野際さんの回では、いつも古くからの親友らしい気の置けないトークが魅力だ。
その中でも、NHK新人アナウンサー時代に泥棒に入られた話、というのがファンの間で有名なエピソードになっている。
徹子さんお気に入りの話として、徹子の部屋では計4回も披露されているらしい。
ファン歴が短いために噂でしか知らなかったのだが、この追悼特集で初めて観ることができた。
話を聞いて納得、抱腹絶倒のエピソードだった。

一人暮らしの部屋に急に押し入ってきた泥棒がナイフを片手に200円を要求。
しかし、千円札しか持ち合わせがない野際さんは、あろうことか泥棒に800円お釣りはないか確認する。
800円あるくらいなら200円よこせとは言わない、と返されて、それもそうか、と思ったという下りには笑いを堪えられなかった。
落語には、間抜けな泥棒とちゃっかりした長屋住人が出てくる「出来心」という噺があるのだが、まさにそんな感じ。
とぼけた泥棒と野際さんのやり取りが本当に素晴らしい。
気になる方は、是非、どこかで見てみて欲しい。

昨年は、野際さん関連で印象に残っている放送が、表題の追悼特集以外に2回ある。
一つは、2/2放送の「野際陽子賀来千香子」ゲストの回(上記の写真)。
もう一つは、11/24放送の「真瀬樹里」ゲストの回。
一つ目は、お馴染み「冬彦さん」の嫁と母の組み合わせで、この回が、野際さん最後の出演となった。
二つ目は、野際さん最愛の娘さんがゲストとして母の思い出を語る回で、この回は大変興味深い回となった。

真瀬樹里

野際さんの徹子の部屋での話を聞いていると、教育ママとして厳しく育てる一方で、娘を溺愛する側面も見せるかなり極端な母親像が窺える。
千葉真一さんと離婚されてからは母一人娘一人で、互いの関係が必要以上に深くなってしまったという部分もあるだろう。
この回では、奇しくも、そうした母親像を娘の視点から答え合わせをするような形になった。
野際さんは、やはり極端な母親ではあったのだろうと思うけれども、それが良いか悪いかなどという野暮で失礼なコメントはしたくない。
というよりも、それを判断できるのは、娘である真瀬さんしかいないのだ。
当人にしか分からない、逆に言えば当人だからこそ分かる関係があるのだろう、という親子の絆を感じさせる回であった。
それにしても、真瀬さんがドラマ「トットちゃん!」に母である野際さん役として出演するきっかけを作ったのが徹子さん、というのがたまらない。

追悼特集を題に付けたけれども、その他の2回の放送も含めて第3位としたい。
また、野際さんのご冥福を深くお祈り申し上げます。

 

第2位 ゲスト「加藤一二三」2017年8月11日放送

加藤一二三

間違いなく、2017年の顔の一つであろう、ご存知ひふみんの回だ。
素直で朗らかな性格が徹子さんと共通しており、二人の相性の良さは、観る前から確信していたが、まさかここまでとは。
お互いの良いところが120%引き出された回だった。
この回を観たら二人のことが大好きになるに違いない。

まず指摘しておきたいのは、生放送でこそ輝くキャラクターだ。
正確に言えば徹子の部屋は生放送ではないので、生っぽい無編集番組に向いていると言えば良いだろうか。
編集がされずに30分撮ったものがそのまま放送されるため、どもりながらも発せられるウィットに富んだ軽妙な言葉たちが、新鮮なまま楽しめるのだ。
他の番組では、妙なテロップが入ったり、面白おかしく編集されたり、彼の話し方ばかりが強調されて正直大いに不満を持っていた。
徹子さんもある意味で似た傾向があるため、良い方向に相乗効果が働いたように思う。

徹子さんもひふみんも、お互いにリスペクトを持ってじっくり話を聞いていて、何とも気持ちの良い会話であった。
それでなくても、まさに棋界とテレビ界のレジェンドの邂逅である。
自分の仕事が嫌になったことはあるか、という質問を互いにぶつけ合うシーンがこの回の白眉だったと思う。
一度もないと笑い合う二人には、老練な戦士が互いの武勲を称え合うような雰囲気があり、何とも温かい気持ちにさせられた。

そして、以前からひふみんの纏っている、独特の明るさは何だろうと思っていたのだが、その答えが出たのも印象的だった。
彼が、引退を決めたときのことを話す場面で、クリスチャンであるために神様に進退を尋ねた、というところでハッとした。
この明るさの正体は、神様の存在であったのだ。
何か絶対的なものを心から信じていて、全ての行いがそれによって許されている人間。
どんなに自由奔放に話しても、どんなに負けん気強く自分の功績を語っても、許されるどころかもっと聞きたくなってしまうあの笑顔は、まさに宗教の持つ良い部分が存分に発揮された結果だと言える。
日本において、本当の意味での「信心」を持ち、なおかつそれが良い方向に働いている例というのには、なかなかお目に掛かれないのではないだろうか。
そういった意味でも、テレビ界において非常に稀有な存在だと思う。

 

第1位  ゲスト「風吹ジュン」2017年4月4日

 風吹ジュン

いつまでも可愛らしい柔らかな雰囲気を纏っている風吹ジュンさん。
こんなにボブとワンピースが似合う64歳がいるだろうか。
その印象とは裏腹に、なかなか波乱に満ちた子ども時代が語られて、かなり強い衝撃を受けた回だった。

前半は産まれたばかりの孫のエピソードが、極めて和やかに話されていたところが、最初のCM明けで一転。
徹子さんが話題を振ったところから、なかなかに数奇な生い立ちが語られることになる。
中学生になる寸前のタイミングで両親が離婚。
彼女は父に付いてこいと言われるも、(兄を置いて)自分だけ父と共に暮らすことに納得ができず、母親に付いていくことを決める。
ところが、この母親という人が、はっきりとは語られないものの、かなり生活力のない弱い人だったようだ。
中学生の彼女は母親と一緒に住むところを転々とし、ついには、中3で放棄されて兄の暮らす京都へ送られてしまう。
内職やアルバイトで何とか生活するものの行き詰った彼女は、単身東京へ。
そこで生活をしている間に芸能事務所を紹介され、事務の仕事に就くつもりで行ったらオーディションに連れていかれて合格。
次の週にはハワイに行って帰ってきたら風吹ジュンという名前が決まっていたそうだ。

もちろん長い時間が経っていることもあるのだろうが、これらのエピソードがあちこち飛びながらも実に軽快に話されていく。
素敵な出会いがいっぱいあった、という彼女の言葉に嘘はないのだろう。
まさに運命としか言えないような巡りあわせで、女優としての風吹ジュンさんが出来上がり、徹子の部屋に呼ばれているのだというところに深い感動を覚えた。

さらに終盤、今度は53年ぶりに父親と再会を果たしたエピソードが語られる。
ちょうど、朝ドラ「あさがきた」で姑役を務めていた頃だそうで、父親の方も相当な高齢
言葉の端々から察するに、父親の方は風吹さんを娘と認識していたかどうかはどうも怪しかったようだ。
それでも、昔の印象より随分と小さく感じたこと、でも手足の形が自分と似ていることに気づいたこと、などが大事な思い出として語られていく。
両親に対して複雑な思いを持っていたであろう彼女が、約半世紀を超えて自分の血と向き合う。
ドキュメンタリー映画を観ているような錯覚に襲われた。

ここまで観て、この回の完璧な構成に驚いた。
最初に孫のエピソード、次に自らの生い立ち、そして父との再会。
徹子さんの話運びからして、ある程度計画されていたものと思われるが、まさに一つの作品として完成されている。
全てを知った上でもう一度観ると、色々と感慨深いものがある。
彼女自身、離婚して二人の子供をシングルマザーとして育て上げたということから考えても、彼女の中には円満な両親のイメージがなかったのではないだろうか。
それでも孫が産まれて、父と再会し、自分の血のリレーを実感する。
その模様が、本人の口から一つ一つ語られるという、これ以上ないほどの傑作回だったと思う。
やすらぎの郷」の番宣と思ってないがしろにしなくて、本当に良かった。

 

終わりに

1位はかなり前から決めていたものの、他の順位は悩みに悩んだ。
もちろん毎回見ているとつまらない回もあるのだが、思わず唸らせられる良回に当たってしまうとまた止められなくなる。
もう性分として割り切って、徹子の部屋が終わるその日まで、出来る限り追いかけていきたいと思う。