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童貞見聞録

アラサーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2016年の個人的ヘビロテ音楽備忘録

今年は「シン・ゴジラ」や「君の名は。」、「この世界の片隅に」含めて様々なヒット映画が生まれたことから、各所に「邦画当たり年」というフレーズが並んでいる。
僕自身もそのことは否定しないが、個人的には音楽の当たり年でもあったなとしみじみ思っている。
というか、今年はよくCDを買い、よくCDを聴いた1年だった。
多分、月に1枚くらいは買っていたのではないだろうか。

元々僕は、このダウンロード時代には珍しくCDを買う派の人間だ。
好きなアーティストの1枚は盤として残しておきたいし、何よりジャケットや歌詞カード、写真、何なら帯まで、CDそのものが作品として好きだからだ。
今年、特に名作に良く出会えたにしても、加速度的にCDを買いまくった原因は、やはり車の存在が大きい気がする。
車の中では必ず何かしらの音楽をかけているし、家族や友人と遠出をする機会も多かった。

備忘録として、2016年に特に聴きまくっていた作品を書き留めておく。
今年の作品ではないものも含まれているが、とにかく今年よく聴いていた1枚なので一緒にまとめておくことにする。

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バケツでごはん

去年の年末位に実家を整理していたら、小学生くらいの頃にかなり愛読していた漫画が出てきた。

csbs.shogakukan.co.jp

一世を風靡した動物占いのイラストの玖保キリコ氏による漫画で全8巻。
動物たちが、実は、人間と同じような生活を送っている、という設定で、人間界と動物界の特異点である上野動物園で働く動物たちを描いた物語である。
基本はサラリーマンもので、中途採用でやってきたギンペーちゃんが、複雑な人間(ペンギン?)関係の中で仕事に恋に奮闘する様が描かれている。

当時アニメも放送されていたはずで、それがきっかけだったのか、両親(二人ともオタク気質)のどちらかが買ったのだろう。
小学生で内容もちゃんと理解できるはずもなかったのに、本当に頻繁に読んでいた。
ちゃんと面白いと思っていたのだから、我ながら見どころのある子供だったと思う。

 

懐かしくて久しぶりに読んでみると、相変わらず面白くて、しかも大人になった分、一つ一つのエピソードに実感が伴ってくる。
そして、読みながら強く感じたのは、僕の人間観というか人間関係の捉え方の原点は間違いなくここにある、ということだった。
人様から受けた相談に対して、童貞の分際でアドバイスしたり説教をぶったりする際の言葉は、源流を辿るとここに行きつくのではなかろうか、とさえ思える。
作品を紹介がてら、自分がどの部分に魅かれて、どの部分が蓄積されたのか考えてみたいと思う。

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この世界の片隅に

この世界の片隅に」の2回目の鑑賞に行ってきた。

konosekai.jp
先月、渋谷ユーロスペースで友人と初めての鑑賞。
その情報量の密度、完成度の高さ、圧倒的な面白さにうまく感想がまとめられずにいた。
そのままパンフレットを購入し、さらに原作も買って読み、どんどんと感想がまとめられなくなっている。
本当に、切り口が無数に存在する作品なのだ。
SNSを中心に素晴らしいレビューがたくさん上がるのも良く分かる。
現在、強い支持に押されて、当初に比べて公開規模が格段に拡大している。
お正月にも、実家の両親と一緒にまた観に行きたいと思っている。

すずさんの筆を通した世界とそれが奪われてしまった世界とか、すずさんと周作さんの罪と罰の対称性とか、あるいは、クラウドファンディング・のんさんの起用といった作り手から伝わってくる反骨精神とか。
昆虫の存在感とか、炊き出しや食事の舞台効果とか、「鷺」と「タンポポ」の意味するものとか。
あれこれ感想をまとめる切り口をぐるぐる考えていたのだが、先週、それらが丸ごと吹き飛ばされるような衝撃的な事件が起きてしまった。

シリア・アレッポの虐殺である。
日本では残念ながら報道も少なく(ちょうど当事者の一人が来日中だったこともあって)、また仮に報道があったとしても遠い国のこととして関心も低かったかもしれない。
ただ、「この世界の片隅に」がヒットしている現在だからこそ、このニュースはもっと実感を持って扱われるべきだろうという気がしたのだ。
自戒もこめて、この視点から映画の感想をまとめておこうと思う。

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星野源ANNにみる男女平等

昔からラジオは大好きだった。
特に中高生の時分はどっぷりとFMラジオにはまり、家に帰ってとりあえずすることと言えば、勉強机のそばのMDコンポのスイッチを入れてラジオを流すことだった。
当時は、埼玉県と東京都の狭間くらいに住んでいたため、大体NACK5からJ-WAVEの79.5-81.3を行ったり来たりの毎日だった。

 

なぜFMラジオだったのかはよく覚えていない。
FMの方が音はクリアに聴こえたし、何よりそれまで知らなかった音楽との出会いが多かったせいかもしれない。
その内、FM特有のあの気取った喋り方と英語の発音にも慣れ始めて、すっかり洋楽ばかり聴く立派なキザ野郎が僕の中に生まれてしまった。
とは言え、ハマったきっかけがラジアンリミテッドだったので、FMでも比較的AMっぽい、リスナーとパーソナリティの交流に焦点が当たったものが好みだった。
ラジアンリミテッドOH! MY RADIOGROOVE LINE鬼玉、そしてみんな大好きクリス・ペプラー氏のTOKYO HOT 100。
当時の特に好きだった番組の数々だが、最後以外、みんなFMの中でもAM臭のする番組だった。

時は流れて、大人になってからも実験の準備中や書類の単純作業をするときには、やはりラジオをつけることが多い。
何せ、当時とは異なり、今はネットに繋がればどこでもラジオが聴けるのだ。
ラジオリスナーにとってradikoの存在は本当に尊い。
最近はタイムフリーという画期的な機能が実装され、一週間以内であれば遡って聴くことができる。
好きな番組を聴き逃しても、曲やCMがカットされた味気ない音源をYouTubeで探さなくて良くなったのだ。
何て素晴らしい。

さて、そんなFMラジオ好きだった僕の現在最もお気に入りの番組が、月曜深夜に放送中の「星野源オールナイトニッポン」(以下、星野源ANN)である。

www.allnightnippon.com
全然FMじゃないじゃないか、とお𠮟りを受けてしまいそうだが、上記の流れからすれば何の矛盾もないと思っている。
まず、一つに、音楽家でもある星野源さんがパーソナリティということもあって、番組中の楽曲は全て彼自身が選んでいて、音楽への強いこだわりが感じられる。
イエローミュージックという大変渋いコーナーもあって、AMでありながら、大変FMっぽい音楽語りが聴けてしまったりするのだ。
元々、FM番組の中でもAMっぽいものが好みだった僕が、AM番組の中でとりわけFMっぽいこの番組を好きになるのは必然だったと言えよう。
そして、radikoである。
音質が悪いとされていたAMも大変きれいな音で聴けて、音楽も十二分に楽しめてしまう。
もはや、AMを聴かない理由がなくなってしまったのだ。

ラジオとテレビの関係や、ラジオとアイドルの関係など、ラジオについては個人的に書きたいことがたくさんあるのだが、それはまたの機会にとっておく。
先日、男女の不平等について書いたことを受けて、その視点からこの素晴らしい番組について述べておきたい。

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婚姻届記入例ものがたり~府中編~

割と真面目な内容が続いてしまったので、とびきりバカバカしい最近のお気に入りの遊びを紹介したい。

簡単に言うと、婚姻届の記入例を見ながら、その架空の人物の婚姻の背景を妄想するという遊びである。
婚姻届の記入例を見る機会というのはあまりないだろうが、これが結構面白いのだ。
各市町村によって多少異なるのだが、色々なイレギュラーなパターンに対応できるようにするために、結果的に複雑な家庭環境が想像されるような不可思議な記入例が出来上がっている場合がまま見かけられる。
養父養母の存在や国際結婚などは序の口で、一筋縄ではいかない難解なものも少なくない。
架空の夫婦なのだから、そもそも読み解く必要なんてないのだが、それをあれこれ考えるのが非常に楽しい。
今回は、この遊びにはまるきっかけになった府中市の婚姻届記入例を紹介したい。

 

まだ学生だった頃、同じ部屋にいた助教の方が結婚されて、お土産にプレゼントされたのが以下の紙だった。

f:id:Tamago_Polo:20161124164346p:plain

この婚姻届記入例のポイントは3か所ある。

一点目。
妻になる人の両親の苗字が異なること。
これは、妻の両親は離婚していることが想定される。
内縁の妻という線もあるかもしれないが、ここは無難に。

二点目。
妻の本籍が、仙台なのだが、現住所は府中で、しかも府中の家の世帯主が父になっていること。
これは、少なくとも仙台で産まれて、一家が府中に移住していることが想定される。
届け出日が不明だが、H26年から同居を開始していることから考えて、移住のきっかけは震災と考えるのが無難な線だろう。
それにしても「仙台の歌舞伎町」とも言われる歓楽街、国分町が本籍とは。すげえな。

三点目。
妻側の証人と思われる秋子さんは、妻よりも年下かつ本籍が同じであるにもかかわらず、苗字が異なっていて、いまだに実家と思しき場所で暮らしていること。
これは難問である。
妻より年下で本籍が同じな場合、当然妹である可能性が高いわけだけれども、既に苗字が変わっている。
しかも母親の苗字とも違う。
結婚しているのだろうと思うのだが、本籍が変わっていない。

 

以上のポイントを踏まえて、府中太郎と奥多摩花子の出会いから結婚までを妄想してみた。

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男女の「不平等」

つい最近、気になる報道があった。

www.j-cast.com報道そのものというよりも、この記事に対する世間の反応が、あまりにも自分の考えとかけ離れていたため、気になってしまった。

 

女子学生を増やすためと言われると疑問符が付くものの、率直に言って、この取り組み自体は評価できるものだと思っている。
これまでの秋入学やらクォーター制導入やらに比べれば、余程学生の立場に立った素晴らしい施策だ。
ところが、上の記事やTwitter上での反応をみると、「男女差別」とか「不平等」というフレーズが多くて驚いてしまう。
どうやら、この件を批判している皆さんと僕とでは「男女差別」に関する問題意識が大きく異なっているらしい。
これは、僕が性的に良く分からない人間であることも関係している気がしたので、男女の性差に関する自分の考えを書いておく。

 

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研究者の人生設計 ~トトロの「お父さん」~

先日、金曜ロードショーで「となりのトトロ」が放送された。
子供の頃から何度となく観てきた作品で、ほぼ間違いなく人生で最も観た映画だろう。
何なら1日に2回観た日もあったと記憶している。
現在「理不尽な運命に懸命に耐える子ども」とか「子供だけが理解できる世界」というテーマにとても弱いのは、おそらくあの日々が支えているに違いない。

 

同じ作品を年を重ねて観るとまた違った感想を持つことはよくあることだが、現在研究者の端くれとして仕事をしている身として、「となりのトトロ」に登場する「お父さん」が気になり始めた。
彼と自分とではかなり分野も違うし時代も違うのだけれども、研究畑に身を置くものとして、最近の事情も併せて考えてみたい。

 

作中、大学の非常勤講師をしているらしい彼・草壁タツオ氏は、考古学の研究者で、病気の奥さんと幼い子供2人を抱えて必死に暮らしている。
生計を立てるために中国語の翻訳の仕事もしているらしい。
何より驚いたのは彼の年齢だ。

32歳

自分とそう変わらない。
糸井重里ボイスに騙されていた。
まさか、自分の歳の頃には、サツキはおろかメイまで産まれているとは。
いつまでも童貞こじらせて自意識をこねくり回している自分とは大違いである。

 

しかし、良く考えてみなくとも、彼の研究者人生を現代で踏襲するのはかなり無理がある。
まず、設定上サツキは12歳ということになっているので、少なくとも大学在学中の20歳のときには子持ちになっている。
現在の普通の感覚からすれば、既にこの時点で有無を言わせず就職という選択肢になり、研究者としての未来予想図は描かれない。
これでもなお研究者という茨の道にしがみつくのならば、余程の後ろ盾があるか、余程のマイペース人間か、その両方かである。

勝手な想像だが、「お母さん」である靖子さんは、妊娠が判明したときに家族からの相当な反対にあったのではあるまいか。
反対を押し切って駆け落ち同然で結婚し、その後生活費を稼ぐために靖子さんは大変な苦労をする。
その結果として作中で出てくるような病気になっているのだとすれば、タツオ氏はなかなかのクズである。
靖子さんのご両親に一発や二発殴られても文句は言えない。

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