童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

アイドルを楽しむ

僕は、かつてアイドルに全くハマらない人間だった。
考えてみれば当然である。
根本はゲイ寄りのバイで、しかも無性愛者なのだから、いわゆる疑似恋愛のような形のアイドルへのハマり方にははなから向いていない。

 

世代としては、小学校から中学校にかけて時代はモーニング娘。一色。
当時、学校でも男子たちの間では誰が好きだとかいった何てことない話題が頻繁に挙がっていた。
だけれども、僕は全くと言っていいくらいに興味を持っていなかった。
曲がそもそも好みではなかったということもあるが、変なところで潔癖なのか、アイドルの楽しみ方はいかに対象に恋い焦がれるか、ということしか無いように考えてしまっていたのだ。
だから、モーニング娘。もジャニーズも良さが分からないし、当時存在していたとしてもおそらくAKBにもEXILEにもハマらなかっただろう。

しかし、昨今、アイドルの楽しみ方はいまだかつてないほどに多様化しているように思うし、現在の自分はどうかというと、時流に乗って結構楽しんじゃっているところがある。
たまにはブログらしく、自分がアイドルに対する考え方を改めたきっかけから、自分なりの楽しみ方について語ってみたいと思う。

 

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物語のなかの渋谷

 先日、ほとんど衝動的にPS4を購入して以来、時間を見つけては続けていたペルソナ5の1週目をようやくクリアした。
素晴らしい内容だった。
子どもの頃からホームズよりルパンが大好きだった僕にとって、やはり「義賊」というのは殺し文句らしい。
主人公に「東尋坊 潮」という日本海の荒波を思わせる名前を付けて、夢中になりながら怪盗稼業に勤しんでいた。

残念ながら1週目では全てのコープをMAXにできなかったので、強くてニューゲーム(2週目)に突入予定である。

 

さて、一通りプレイしたところで、本作の舞台の一つになった渋谷というのが、改めて面白い街であるな、と思ったのでまとめておきたい。
というか、渋谷の持つ独特の倒錯感と、土地の特性、発展の有様が、まさに本作の舞台たらしめる必然性に直結しているような気がしたのだ。

 

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人間性の回復 ~ 聲の形 × アクト・オブ・キリング

「聲の形」を観てきた。
先日「君の名は。」を観に行って、全く乗れなかったということを記事にしたが、こちらはある意味で対称的な作品で、僕にとっては親和性の高いテーマであり、無事に没入することができた。

 

ただし、こちらも「君の名は。」とは全く別の理由で、生半可な批判が許されない雰囲気を纏っている。
軽い気持ちで意見するにはセンシティブ過ぎるテーマ「いじめ」が描かれているからだ。
程度の差こそあれ、多くの人が、いじめの加害者・被害者・傍観者のいずれかを経験している。
かくいう僕も、中1の頃に、いじめと呼ぶにはまだ大人しいものだったけれども、クラスメートから嫌がらせを受けていた。
そして、その後、僕はおそらく傍観者になっていた。
いじめ問題が難しいのは、余りにも一つ一つのケースが千差万別で、正解も不正解も無数にあり、しかもいずれも取り返しのつかない結果を孕んでいるところだと思う。
その問題に、大多数の当事者あるいは元当事者が自らの立場と経験に基づく意見を持っているのだ。

 

終わりのない「いじめ代理戦争」を展開することは本意でない。
自分の受けた嫌がらせについてはまた別の機会にまとめるとして、今回は、ちょっと別の視点で感想をまとめておきたい。

 

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ネカマのすゝめ

先日、東京まで映画を観に行ったついでに、大学院時代の後輩と飲みに行く機会があった。
いつもの顔ぶれと会っても面白くないので、誰か知らない人を連れてきてくれて良いと伝えておいた。
ちょうどその後輩とは分野も遠かったので、普段聞けないような話が聞けるかもしれないと期待していた。

 

しばらくして後輩から連絡があった。

ネカマの人を捕まえました!!!!!!!!」

 

正直予想外だった。
別の意味で異分野の人だ…

後輩は、普段から僕が変人や変態を好んで面白がることを良く知っているのでこんなチョイスをしたらしい。
素晴らしい。でかした。よくやった。
できた後輩を持てて幸せだ。
思いつく限りの褒め言葉を浴びせて溺れさせたかった。

 

そんなわけで、生まれて初めてネカマ活動をしている人と銀座で火鍋をつつく機会を得た僕は、色々と貴重な話を聞くことができた。
今日はそこで得た感動と後日偶然にもその話とリンクする出来事があったのでまとめておきたい。

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宇多田ヒカルの日本語詞

宇多田ヒカル女史の約6年ぶりのアルバム「Fantôme」がリリースされた。
既に多くの人がこの作品を聴き、素晴らしいレビューが次々と挙がっているこの状況で、これを取り上げることは気がひけるのだけれども、彼女の存在は僕にとっても大きなものなので記事にしておきたい。

 

彼女がデビューしたとき、僕はまだ小学6年生だった。
ソファーの前で少し愁いを含んだ表情で歌う彼女を見て、そしてそれまで聴いたことのなかった音楽に出会い、当時の僕は大きな衝撃を受けた。
その後ずっと彼女の一人のファンとして、彼女の音楽とともに大人になった。
もっと言うとあの時にR&Bと出会ったから、中高とFMラジオを聴くようになって、まず洋楽R&B(Mary J BligeとかToni BraxtonとかSadeとか)の沼に沈み、その後も色んな音楽の世界を知ることになった。
その意味で、彼女は弱冠15歳にして日本の音楽界に革命を起こした人であったけれども、個人である僕にとっても、音楽の世界を大きく広げるきっかけをくれた人だった。

しみじみ思うのは、宇多田ヒカル氏、椎名林檎氏、Cocco氏など、綺羅星のごとき才能が、最も活動していた時に最も多感な時期を生きられたことは、本当に幸せだったということだ。
いや、彼女たちが好きになったから、いまこんな大人になって、こんな風に思えているとも言えるから、順番が逆かもしれない。

 

さて、彼女の復活を喜んでいるファンの一人として、先週放送されたSONGSは大変素晴らしく、興味深い内容だった。
何より嬉しかったのは、僕が最も彼女の魅力だと感じている「詩人」としての一面を、同じく「詩人」である井上陽水氏が語ってくれたことだ。
デビュー当時、日本人離れしたリズム感とメロディセンス、帰国子女である故の英語の発音の良さなどに注目が集まって日本語詞については多く語られていなかった気がする。
語られていたとしても、「15歳とは思えない」とか「早熟」とかが枕に付いていて、初期の歌詞によく見られた「無理して大人っぽくしてる少女」感が主な評価対象だったと思う。

 

けれども、もっと彼女の日本語の素晴らしさ・巧みさは評価されていいはずだ。
彼女の詩を読んで歌を聴いていると、日本語のポテンシャルを良く理解し、それを最大限に引き出そうとするアイデアや挑戦が詰まっていることが分かる。
しかも、ちゃんと「歌」として成立していて、それでいて描かれる内容は、間違いなく誰の心にもあるものを蘇らせる力を持っている。
お会いしたことはないが、相当な勉強家でかつ日本語愛好家であろうと想像する。

 

今回のアルバムを聴いていても、だいぶ印象が変わったとは言え、相変わらず日本語の素晴らしさは変わらなかった。
彼女のお母さんとの関係や、音楽的な魅力については既に多くの記事が挙がっているので、ここでは、僕なりに、彼女の日本語詞の魅力をまとめておきたいと思う。

 

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排泄理論

数年前から僕が唱え続けている排泄理論についてまとめておきたい。

 

排泄理論とは何か。

簡単に言ってしまえば、全ての「気持ちよさ」は、詰まるところ排泄に通じるのではないか、という考えだ。

 

誰しも、大にしろ小にしろ、トイレで体から老廃物を排出することは快感だろう。
鼻くそをほじる、ヘソのごまをとる、爪を切る、さらには散髪や髭剃りまで、程度の差こそあれ、排泄に関係することは、どれも快感を感じる行為だと思う。
何なら他人の排泄でも良い。
僕だけかもしれないが、人の耳掃除とかカタツムリの脱糞の動画を見ると不思議なカタルシスがある。

 

つまり、「排泄行為は気持ちいい」という命題は真であろう。
僕の唱える排泄理論とは、この命題の逆である。
「気持ちいい」は、結局のところ排泄と関係するのではないか。

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生活音から想像してみる

今回、おそらく何度となくこのフレーズを使うことになると思うが、決して僕はストーカー行為を働いているわけではない。
単純な好奇心で考え至ったことをまとめているだけである。
むしろ、生活音からこのくらいのことまで想像できたよ、ということを知らせる警鐘だと思ってほしい。
もし、この記事を読む方がいたとしても、通報だけはしないで頂きたい。

 

罪を告白するようで嫌だが、今回のようなことをしようと思った背景は、二つある。

 

まず、僕はもともと、間取りが好きだった。
用もないのに不動産サイトで中央線沿線の物件を見たり、旅先の不動産屋の前でここに住んだらあーだこーだと考えたりする。
一人暮らしを始めた今では、間取りを見ながら、この辺に家具を置いて、ここに布団を敷いて、などの想像がよりしやすくなって、以前よりさらに間取り図に魅かれるようになった。
とはいえ、所詮、任期付き博士研究員の薄給、田舎ではそんなに大層な間取りにも出会うこともできず、何の面白みもない1Kの部屋に暮らしている。

 

もう一つは、今の部屋に引っ越した当初から、上階からかなりの生活音というか足音が聞こえていたことだ。
僕自身、そういった音や振動には割と無頓着で、明るかろうがうるさかろうが眠れるので、特別困るということはなかった。
まして、昼の時間は基本的に家にいないので関係ない。
しかし、それにしても上階からの音はなかなかに派手だとは思っていた。
当初、下の階にも僕の足音とか結構聞こえているかもしれないと気にしたが、僕が1年以上暮らしてきた限りでは、あそこまでの音は鳴っていないと思っている。

 

最近、家で間取りに関する本を読みながら、ふと思った。

そういえば、上の階は、自分の部屋と同じ間取りのはずだよな、と。

 

そしてさらに思った。

これだけの派手な振動を伴う大きな音が出るということは、家の中で上下動があるはず。
ということはベッドがあるのかな、と。

 

そんなきっかけから、生活音を頼りに、上階の住人の大体の家具配置を想像してみた。
繰り返すけれども、僕は、上階の住人をストーキングする目的はない。
そもそも女性か男性かも知らないし、確かめる気もない。

 

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