童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

性的指向について③

また記事の更新が遅くなっている。
ここしばらくは若手研究者らしく就職活動で忙しかった。
やっとそちらが落ち着いたので、またこうして筆を執っている。
研究者業界の就職活動についても、いつか機会をみて記事をまとめておこうと思う。

さて、今回は忙しい期間に入る前に書いておこうと思っていた話題を消化しておきたいと考えている。
このブログのテーマでもある自らの性的指向に関する件だ。
これまで2つの記事を書いていて、今回はその続きとなる。

tamago-polo.hatenablog.com

tamago-polo.hatenablog.com

前回、自らの性的指向をはっきりさせるために実験をしている、という内容の記事を書いた。
簡単に言えば、オナ禁をしたら自分でも所在が良く分からなくなった性欲があぶり出されてくるのではないか、というものだった。
前回の記事の時点では高々一か月程度で、ほとんど何の兆候も見られなかった、という報告だった。

あれから8か月余り経ち、どんなことがあったかと言うと、実は4か月ほど経ったところで、産まれて初めて夢精をした。
ちょっと、というかかなり恥ずかしいのだが、今回はそのことをまとめておこうと思う。

 

夢精を起こすまでの間は、特に悶々とするわけでもなく、極めて順調に平静に暮らせていたと思う。
もはや自分には一片の性欲も残されてはいないのか、と不安になるくらいだった。
その頃に前立腺がんの危険性なんてのも記事で読んだりして、この実験は割と危険なんじゃないかとか思ったりしていた。

驚くことに、夢精を起こしたのは実家に帰っていた時だった。
これには特に理由はないと思うが、もしかしたら「家庭」を求める気持ちみたいなものが働いたのかも知れない。
とにかく、朝方、夢と現実の間を行ったり来たりしていたところで、突然それは起きた。
これが人生初めての夢精だった。
実は、僕の小学校はそこそこ性教育がちゃんとしていて、精通よりも前の段階で自慰行為を知識として知っていた。
それもあって、良く聴く話のように、夢精によって精通ということがなかったのだ。

最初に思ったことは、不謹慎ながら「面白い」だった。
ある意味でそのために続けていた実験でもあったので、それがうまくいったという充実感。
30過ぎて初の夢精という事実の滑稽さ。
追いかけるようにして恥ずかしさがこみ上げてきた。
一体、僕は何をしているのだろう。
流石にこの歳で汚れた下着を親に洗ってもらうのは忍びなかったので、厳重に封印した上で自宅に持って帰り、すぐに洗濯機を回した。

 

さて、肝心のその瞬間に見ていた夢であるが、はっきりと覚えている。

黒人の男女がアクロバティックに交わっている様子だった。
両者とも、まさに健康的と呼ぶべき見事なプロポーションだった。
そして、やはり僕はそこにいなかった。

フロイトに詳しいわけではないけれども、自分なりに解釈してみると、おそらく僕の中には強烈な「健康体への憧れ」があるのだと思う。
裏を返せば、僕は、自分のことを「不健康である」と思っているということになる。
それはそうかも知れない。
今はかなり痩せているけれども、大学生頃まではずっと太り気味だったし、運動はとにかく苦手だった。
そして何より、自分の性的指向に疑問を持った時からずっと、「健康」というか「健常」ではないという意識が拭えなかった。
だから、当たり前に性欲が旺盛で、何の疑問も持たずにセックスを楽しむ健康的な男女が羨ましくて堪らないのだ。

実験を続けて顕わになったのが、暗いコンプレックスの存在だったというのは皮肉なものである。
このコンプレックスが、僕の中の微かな性欲を支えていると考えると、無性愛的であることも納得できる。
あの「夢」に僕がいないことこそが、興奮の源なのだから。

こうしたコンプレックス(「健常」ではないという意識とか)は、捉え方によっては被差別意識とも言えるし、差別を助長する考え方として非難されるかもしれない。
しかし、無意識下のところにまで沁みついてしまったこの感覚を拭い去ることは、かなり難しいように思う。
あるいは、自分が「夢」で見た健康的な男性に近づいていったらどうだろうか。
次に行うべき実験はそれかも知れないが、きっとそれは、どこまで行っても自分を「彼」に重ねることはないだろうという予感がある。
それは「彼女」の方も同様で、だからこそ、「彼ら」は黒人だったのだろうと思うのだ。

 

当初考えていたよりも、自分の抱えるものの根が深いことが分かってきた。
ただ、実は、治したいかと言うとそうでもないので、特に悲壮感はない。
性欲を感じないで生きる人生も、別に不幸ではない。
今は特に実験を継続しているわけではないが、好奇心に任せて、機会があればまた何か考えてみようと思う。

一人っ子の憂鬱と自由

ブログを始めてから一年以上が経ったが、今のところ何とか続いている。
自分で書くのももちろん楽しいけれども、それ以上に他の皆さんのブログが面白くて、購読ブログの新着情報を開くのが日課になっている。
「〇〇の方法」とか「××してみた」とかは個人的にあまり好みではなくて、様々な思いを抱えた著者が内面を吐露するようなものが好きだ。
皆さん文章も上手いし色々な体験をされていて、こんな風に書くとおこがましいのだけれど、ああ一人ではなかった、と安心する部分があるからかもしれない。

その中でも、ゲイとして生きる君へは、特に興味深く読ませてもらっているブログの一つだ。
著者である神原さんの同性愛者としての体験が、かなり赤裸々に綴られている。
自分もセクシャルマイノリティの一人だと勝手に思っているので、自分との共通点や相違点が顕わに感じられるのが、自己分析という意味でも大変ありがたかった。
文体は押しつけがましいところがなくて、その一方でユーモアやスリルもあったり、飽きがこない工夫がされているのを感じる。
文章でしか存じ上げないけれども、おそらく非常に気遣いのマメな方だろうというのが伝わってきて、勝手に好感を持ってしまっている。

さて、そのブログで、最近こんな記事が載せられた。

mituteru66.hatenablog.comお兄さんへの想いが綴られる中で、「兄貴がいなければって思う時がある」という部分を読んだときに、僕は衝撃を受けた。
言及記事なんてほとんど書いたことなかったけれども、ブログの紹介ついでに、その衝撃の理由を少しまとめておこうと思う。

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星野源はウナギになった

昨夜、おげんさん(星野源)がゲストのSONGSを観ていた。

www6.nhk.or.jpおげんさんとは、5月に一回だけ放送された生放送番組「おげんさんといっしょ」のキャラクターで、星野さんの新曲「Family Song」のMVにも登場する素敵なお母さんだ。


星野 源 - Family Song 【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】

ただ、メイクのせいなのか、久しぶりに観たおげんさんはやけに疲れて見えて、以前見た姿より10歳くらい老けていた。
もちろん番組そのものは大変面白かったのだけれども、段々と謎の不安感に襲われてきて、素直に楽しめなくなっていることに気が付いた。
これは一体どういうことなのか。
そのことについて考えてみた。

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マインド・ゲーム

先月、早稲田松竹湯浅政明特集が組まれた。
今年は、「夜は短し歩けよ乙女」「夜明け告げるルーのうた」と名作を連発し、改めて過去の作品にも注目が集まっている。
週末はかなりの人を集めて立ち見でも入れないという状況だったようだが、幸運にも平日に行くことができて、比較的苦労せずに入れた。
ラジオで宇多丸師匠や星野源さんなどが絶賛していて、前々から観たいと思っていた「マインド・ゲーム」をようやく観ることできた。

www.mindgame.jp

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観終わってまず感じたのが、とてつもない疲労感だった。
とにかく情報量が多い。
切り張りされたようなシーンの連続が、一見繋がらないようでいながら実はちゃんと有機的に結びつき、物語に絡んでいく。
ある色で塗られた景色も次の瞬間には別の色に変わり、視点もあちこち飛ぶ。
一瞬たりとも目が離せないし息がつけないのだ。

正直に言うと、余りにも胸と頭がいっぱいになり過ぎて感想をまとめられる気がしなかった。
というか、本当ならDVDを手に入れて1シーン1シーン止めながら熟考したかった。
しかし、なかなかそんな時間も取れないし、これをまとめないと次に進めないような気もしたので、無理やりまとめておきたいと思う。
後で書き足すかもしれない。

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オタクの再生産

随分と前回の記事から間が空いてしまった。
8月の中頃に風邪を引いて寝込んだのをきっかけに、実験だ学会だと急に忙しくなったりして、書きたいことは溜まっていくのになかなか記事に出来ないでいた。
ようやく少し余裕も出てきたので、少しずつ書きたいものリストを消化していきたいと思っている。
今回は、久々の記事と言うこともあるので、リハビリも兼ねて軽めの話題をまとめておきたい。

 

僕は、自分がオタクだとは思っていない。
良くある話ではあるけれども、自分で「オタク」と言い切ってしまうには、本当のオタクの方々に比べると、知識でも熱量でも負けている気がしてしまうからだ。
例えば、僕は、地方の公演まで遠征するレベルでPerfumeの大ファンである。
しかし、所詮は2007年の公共広告機構のCM(ポリリズム)から入った新参者で(界隈で言うところのポリ新参)、インディーズの頃から応援していた古参の方々(界隈で言うところの亀戸古参)に比べたらまだまだ、という気がしてしまう。

ただ、オタク気質であることは認めざるをえない。
一度好きになると、周辺知識にやたら詳しくなったり関連商品を収集し始めたり周囲に布教し始めたりしてしまう。
そして、一度ハマると長い。
Perfumeに関してはもうかれこれ10年になるし、映画も好きな監督の作品は追いかけ続けるし、僕の中では比較的歴史の浅い寄席もハロプロも、とりあえず今のところ離れるつもりは無い。
その他、いわゆるオタクと聞いてイメージされる漫画、アニメ、ゲームといったカルチャーは漏れなく好きである。

 

何故こうなったのかということを考えてみると、ほぼ間違いなくその原因は両親にある。

最近になって気が付いたのだけれども、うちの両親はかなりオタク傾向が強い。
まず、二人とも漫画もアニメもゲームも全部大好きである。
今年古希を迎える父は、去年の暮れ辺りにポケモンGOがしたいがためにスマホの購入を真剣に検討していたし、その少し下の母は、ゼルダの伝説がやりたい(観たい)からSwitchを買えとうるさい。
漫画「イムリ」をお薦めしているときに「主人公に残酷な運命が次々と~」と話していたら突然「残酷な天使のテーゼ」を歌い出したりするし、春先はばっちり「君は〇〇なフレンズなんだね!」を使いこなしていた。

そして、のめり込むときの勢いが尋常ではない。
去年、逃げ恥が大流行していた時、両親も世間と同じように夢中になってドラマを追いかけていた。
初任給で買ってあげたHDDを駆使して、いそいそとテレビ放送分をダビングしているのはまだいい。
PCでの配信も落として、テレビで観る用とPCで観る用の二つがあるとか父が自慢しているの見ていたら、我が親ながら気持ち悪いと思ってしまった。

 

とは言え、最近観察していて、結構自分と違うところもあるな、と感じている。

父は、のめり込む対象がかなり限定的で、その他のことについてはかなり無関心になる。
そして、自分ののめり込む対象は人にしつこく薦めてくるくせに、人から薦められたものには興味を示さないという習性がある。
一方で母は、広く色んなものに興味があるので無関心がない代わりに、好き嫌いがかなりハッキリと別れていて、その評価が後から変わることは滅多にない。
人にも薦めたりするが、どちらかと言うと僕から薦められたものに次々とハマっていくパターンが多い。

対して自分はと言うと、両者が混ぜ込まれてKSDD化したような感じである。
とりあえず何にでも興味はあるし、いったん苦手だと思ったものでも楽しみ方を覚えるとハマれたりする。
人にもしつこく薦めるし、薦められたものにもどんどんハマっていく。
余りにも好きになるものが多いので、ガンダムとかジョジョとか危険そうな沼には近づかないようにしている位だ。
それから、もちろんコンテンツそのものも好きだけれども、それにハマっているオタクの人達を観るのも大好きである。
何なら、コンテンツには興味を持っていなくても、それについて熱く愛を語っている姿を見ていたいと思うことすらある。
別に馬鹿にしているというわけではなく、「マツコの知らない世界」(特に深夜時代)とか「タモリ倶楽部」的面白さが好きなのだ。

 

何でも好きになっちゃうし、オタクも大好きという、とんでもない尻軽宣言をしてしまった気がする。
ただ、考えようによっては、人よりも楽しいと思えることが多い幸せな人間であるとも言える。
独身をこじらせて割と深刻な状態になっているけれども、両親のおかげで素敵な人生が送れそうだということで、謝罪と感謝両方の意味で謝意を捧げたいと思う。

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

先週末、東京で友人の相談事に付き合った後、兼ねてから観たいと思っていた作品を渋谷のル・シネマまで観に行ってきた。


映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』予告編

ちなみに、ル・シネマに来たのは数年ぶりだったが、相変わらず客層が慣れない感じで懐かしい居心地の悪さだった。
一番苦手とするル・シネマっぽい客は、露出度が高いナチュラル素材の服を着て、大きいリング状のイヤリングとかブレスレット付けてて、頭にサングラス載せてて、すぐオーガニックとか言い出しそうな西海岸風さばさば系マダム。
苦手だけれども、同じ映画を観てどんな感想になるのかは気になった。
きっと僕とはまるで違う受け取り方をしただろう。

それにしても、ちょっとタイトルが長すぎるような気がする。
おそらく原題は単に「Dancer」だったのだと思われる。
邦題もそれに倣って、「ダンサー」とだけするわけにはいかなかったのだろうか。

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愛は光

先週、Negiccoのベストアルバムを購入した。

Negicco 2011~2017 -BEST- 2 [CD+Blu-ray Disc]

Negicco 2011~2017 -BEST- 2 [CD+Blu-ray Disc]

 

彼女たちにとっては2枚目のベストアルバムで、結成15年目に突入という日に発売された記念碑的な一枚になっている。
以前から彼女たちの楽曲は好きだったのだけれども、CDを購入するのは今回が初めてだった。
改めてじっくり聴いてみると、質が高く面白い楽曲が多くて、とても良い買い物だったと満足している。

しかし、中でも出色の出来栄えだと思うのが、本作唯一のオリジナル曲「愛は光」だ。
アイドルソングの歴史に名を遺す傑作であることは間違いないと勝手に思っている。
この名曲の素晴らしさについて、まとめておこうと思う。

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