一昨日は久々に仕事を休んで、博物館の企画展に行ったりコートを買ったりカフェでプリンを食べたりしてきた。
全て一人で。
30代も後半になると、こうしたことを一人でやっても何も気にならず心から楽しめるようになる。
若い頃はもっと、他人にどう見られているかとか本当に詰まらないことに想像を働かせていたと思う。
歳をとるごとにその憑き物が落ちてきて、幸福度が上がっているのを感じる。
恋人もケーキもチキンもないけれど、誰が何と言おうと、僕はベストなイブを過ごしたと胸を張れる。
そして迎えたクリスマスは、イブに休んだ分をきっちりと働いた。
午前には高校生向けのお仕事紹介で、お昼には旧知の方が訪問してくれてランチをご一緒し、夕方は別の知り合いが年末の挨拶に訪れてくれるなど、とにかく客の多い一日だった。
それにしても、最近の高校生はみんな真面目で驚いてしまう。
クリスマスに研究者の話を聞きに行かされるなんて、さぞや不貞腐れているであろうと構えていたのだが、詰まらない僕の話をメモを取りながら神妙に聞いていて、むしろ心配になってしまった。
若者は、若者らしい生意気さと太々しさと強引さを、ちゃんと発揮していて欲しいと思う。
令和の子ども達や学生さんを見ていると、大人しく、真面目で、素直。
良いことなのかも知れないが、大人に気を遣ってくれている気がして、申し訳ない気持ちになってくる。
疲れて余裕を失った大人達の顔色を窺って、扱いやすいように振る舞ってくれているのではないか。
それが、彼らの生存戦略になってしまっていないか。
子どもが子どもらしく振る舞えない状況を作り出してしまっている責任の一端を、自分も握っているのではないかと不安になることがある。
イブの日の夕方、博物館で購入した図録をホクホク読みながらプリンを食べていた僕の周りには、若いカップルも座っていた。
彼らが僕のことを指差して、哀れな人間だと嘲笑ったとしても、僕の幸福は損なわれないし怒ったりもしない。
むしろ、それくらい失礼な態度をとってくれた方が安心できるかも知れない。
それくらい、若者の「良い子っぽさ」に危機感を持っている。