あなたから電話があったのは、確か3年前の夏でしたね。
突然、仕事用のPHSに非通知の文字。
まだ勤め始めの新人時代で、少しドキドキしながら出たのを覚えています。
軽妙なトーク、美しい声、ただ頷くしかできなかった。
もっと聞いていたかったけれど、生憎その日は仕事が立て込んでいてそれ以上は無理。
それを伝えると、あなたは少し残念そうな声で「またかけます」。
突然仕事場に電話を入れられて、こちらに非はないはずなのに、何故か少しだけ罪悪感を感じました。
程なくして、昼休みにまどろんでいたところへ、また電話が。
今度のあなたは何だか違った。
「是非お会いして話がしたい。」
ちょうどその週末に近所に来る予定があると言う。
本当に何故か分からないのだけど、OKしてしまった。
確かに、あなたという人間に少しだけ興味を引かれたことは否定できない。
でも、今になって思えば、このときに会うべきじゃなかった。
お互いのためにも、もっと強く断っておけば良かったと、後悔しています。