童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2017年上半期の個人的ヘビロテ音楽備忘録

時の流れは速いもので、もう2017年も上半期が終わろうとしている。
去年に引き続き、今年も既に色々なCDを買い、楽しませてもらっている。
昨年末に1年分をまとめるとき結構苦労したので、半期で分けてまとめておくことにする。
僕が購入した時系列になっているので、発表年とかは新旧飛びまくっている。

「A Seat At The Table」Solange

去年出たアルバムで、評判が良いことは元々知っていたのだけれども、確かテレビでtofubeats氏と蔦谷好位置氏が激賞していたのを観て、今年最初位に購入した。
Solange自体は、言わずと知れたBeyonceの妹として知っていたけれども、昔のアルバムなんかは聴いたことがなかった。
実は高校生くらいの頃にDestiny's Childにハマっていた時期があって、興味を持っていてもおかしくはなかったのだけれども、「Soldier」のMVに出ている人だよね、位の認識であった。

A SEAT AT THE TABLE

A SEAT AT THE TABLE

 

聴いてみて、質の高さに驚いた。
例えるなら、僕の好きな音楽のタイプの一つを、余計なものを極限まで取っ払って、精米歩合10%以下位にして絞った最初の一滴みたいな感じだろうか。
こんなにもシンプルでかつ洗練されたアルバムはなかなかないと思う。
きっとこういう作品が、後々「クラシック」と呼ばれるようになるんじゃなかろうか、と思ってしまう。

特に、「Don't Touch My Hair」は素晴らしい。


SOLANGE - DON'T TOUCH MY HAIR (OFFICIAL VIDEO)

僕は、中学生くらいの頃から「R&B」とジャンル分けされる音楽を好んでよく聴いていた。
しかし、その後何度も「R&B」の定義などを調べたけれども、どれもしっくりこなくて、今でもどんなものか説明することができない。
というか、好きな曲を集めてみたら、皆が「R&B」と呼んでいるものが多かった、というのが実際に近い。
僕が好きな「R&B」っぽさを追求すると多分このアルバムになる気がする。
高校生くらいの頃によく聴いていたAlicia Keysの「Songs in A Minor」や「The Diary of Alicia Keys」とかに近い。
おそらく何十年か経っても、たまに聴きたくなって聴いている気がする。

 

「Fine」キリンジ

今更かも知れない。
2001年のアルバムを今になって聴いているなんて。

しかし、何せ僕がキリンジのアルバムを初めて買ったのは去年のことで、しかも既に新生キリンジになった後の作品であった。
そこから過去に巻き戻って、数々の名曲を知るうちに、やはりアルバムが欲しくなって購入した。
ほぼ同じタイミングで買ったデビューアルバム「ペイパードライヴァーズミュージック」も滅茶苦茶好きだけれども、そちらは中古だったので、新品で手に入れたこちらを載せておく。

キリンジの過去の名曲を巡っていたときに、聴きながら涙がこぼれてきたのが、「Drifter」だった。
歌詞も含めて本当に素晴らしい。
特に、好きな大サビの歌詞も載せておく。


キリンジ - Drifter

たとえ鬱が夜更けに目覚めて
獣のように襲いかかろうとも
祈りをカラスが引き裂いて
流れ弾の雨が降り注ごうとも
この街の空の下 あなたがいるかぎり僕は(逃げない)

きっとシラフな奴でいたいのだ
子供の泣く声が踊り場に響く夜
冷蔵庫のドアを開いて
ボトルの水飲んで誓いをたてるよ
欲望が渦を巻く海原さえ
ムーン・リヴァーを渡るようなステップで
踏み越えて行こうあなたと

この僕の傍にいるだろう?

一説によれば、キリンジのお兄ちゃん堀込高樹さんが結婚に際して奥さんに宛てて作った曲だということだ。
こんな曲作られたらそりゃ惚れるわ。
誰の結婚式でも、これが流れたら反射的に泣いてしまう気がする。

 

「Racine Carrée」Stromae

ベルギーのアーティストStromaeの2013年のアルバムだ。

Racine Carrée

Racine Carrée

 

知ったきっかけは、YouTubeのオススメだった。
どういう経路で繋がったのかは不明だが、Pentatonixが「Papaoutai」のカバーをしていたからかも知れない。
記憶が定かではないのだが、もしかしたらPentatonixを先に観て、本家にたどり着いた可能性もある。

何にせよ、ヒップホップ+ダンスミュージックなので好きにならないわけがなかった。
フランス語独特のもたる感じが活きたラップ。
ミュージカルのようなドラマチックな構成。
無条件に体を突き動かすビートに、怒りや悲しみの激情が乗る感じ。
とにかく新鮮で、Black Eyed Peasを最初に知ったときのことを思い出した。
実際、Will.I.Amと彼は面識があって一緒に共演したこともあるらしい。

加えて、元々映画学校にいたこともあってMVに対するこだわりが強い。
楽曲も含めてとにかく完成度が高いと思うのが「Tous Les Mêmes」と「quand c'est ?」だ。


Stromae - Tous Les Mêmes


Stromae - quand c'est ?

一つ目は、女からの「男ってこうよね」と男からの「女ってこうだよな」を集めた曲。
MV中でも右半分と左半分でメイクを男女に分けて、様々な趣向を凝らしたセットのなかをStromaeが見事に二役演じ分ける。
照明の色で男女を分けているところもいい。
個人的に好きなのは正面で踊るStromaeから後ろに隠れたダンサーが次々現れるところ。

二つ目は、肺がん予防週間とかにうってつけの恐怖のMV。
がんに侵され、やがて命を奪われてゆく過程を、機械っぽいギミックと影絵、一人芝居をうまく組み合わせて表現している。

思うのだが、彼は映画音楽とかを担当したら、間違いなく良い仕事をすると思う。
フランスだと、例えばジャン=ピエール・ジュネ監督なんかはとても相性が良いはずだ。
それからライブもおそらく面白いに違いない。
輸入版しかなく、日本ではまだまだ知名度が低いけれども、いつか来日することがあればライブに行ってみたい。

 

「SUPERMAN」水曜日のカンパネラ

今年大ブレイクを果たしたアーティストの一組だと思う。
僕もNHKの番組で「一休さん」を観たのをきっかけにアルバムを購入したので、完全なニワカだ。
それでも、このアルバムはとてもバランスが良くて、購入から数か月経った今でもかなりの頻度で聴いている。

SUPERMAN (CD版)
 

そもそも水曜日のカンパネラというグループが、絶妙なバランス感覚を持っていると思う。
レキシや相対性理論っぽい知性と不条理を併せ持った歌詞。
サカナクションっぽい切ないのにダンサブルなビート。
ゲスの極み乙女。っぽい変則的な構成。
きゃりーぱみゅぱみゅっぽい前衛的な演出。
色々な~っぽいが、抜群のバランスで同居している気がする。
メンバー構成も、フロントマンになるのがコムアイさん、曲を担当するのがケンモチヒデフミさん、その他裏方担当がDir.Fさんとなっていて、住み分けのバランスも良い。

やはり「一休さん」が有名だけれども、個人的には「アラジン」とか「オードリー」の方が好みだ。
色々書いたけれども、結局、ケンモチさんの作る曲が好き、ということなのかも知れない。


水曜日のカンパネラ『アラジン』

オードリー

オードリー

 

「Fever」Kylie Minogue

今更Part 2だ。

実は、上の水曜日のカンパネラの「一休さん」のMVを観ていた時に、凄くゲイ受けしそうな感じだよな、と思っていた。
そして、自分の音楽の趣味はかなりゲイっぽいよな、と。

これは以前から気付いていたことだ。
iPodの中は女性グループや歌手がほとんどだし、たまにいる男性はサカナクションとかColdplayとか、マッチョな感じがまるでない。
同年代の男子たちが好きだったバンプとかアジカンとか決して嫌いではなかったけれどもハマることはなかったし、いまだにメタルはほとんど聴いたことがない。

そこで、考えてみた。
逆にゲイ御用達のアーティストを聴いてみたら結構ハマるのでは?

ゲイ御用達と言えばMadonnaとかKylie MinogueとかLady GaGaが筆頭だろう。
Lady GaGaは既に大好きで去年のアルバムも楽しく聴かせてもらっていたが、他の二人は余りちゃんと聴いたことがなかった。
そこで、偶然中古CD屋でKylieの名盤と呼ばれる「Fever」を発見したので、実験的に聴いてみることにしたのだ。

フィーヴァー

フィーヴァー

 

噂に違わぬ名盤だった。
大好きな中田ヤスタカ氏も彼女の曲をRemixしていたりするので、きっと影響を受けているのだろう。
その意味で、自分が好きになるのは最初から分かっていたことのような気もする。
超有名曲「Can't Get You Out Of My Head」も勿論だが、個人的には「Love At First Sight」がアレンジも含めて好みどストライクだった。
表題曲「Fever」もシンプルで落ち着いたナンバーで飽きが来ない。


Kylie Minogue - Love At First Sight

Fever

Fever

アンディ・ウォーホルの素材に使われそうな特徴的な顔立ち。
柔らかく馴染みやすい声。
ガンガンに踊らせにくるビート。
ゲイ受けするのも納得だ。
でも、余りにも受けを気にしすぎてほぼ乱交みたいになっちゃった「All That Lovers」のMVとかはちょっと…と思うので、音楽中心で楽しんでいこうと思う。

さて、まんまとKylieは自分の好みであったわけだが、となると次は更なる大御所Madonna
他にも聴きたい作品が多いので、しばらくは待っておきたいと思う。

 

「FANTASY CLUB」tofubeats

tofubeats氏は、宇多田さんのトリビュートアルバムで「time will tell」をBONNIE PINKさんとやっていたのを聴いたのが最初だったと思う。
丁寧なアレンジにメロウな雰囲気でとても好感を持った。
メジャー最初の「First Album」も評判が良いことは聞いていたので買ってみたところ、藤井さんとの「ディスコの神様」やBONNIEさんとの「衣替え」など名曲ぞろいで、いまだに良く聴く一枚になった。

そんな彼が今年出したニューアルバムが「FANTASY CLUB」だ。

FANTASY CLUB

FANTASY CLUB

 

これまで、誰かゲストを招いて歌ものの曲を作っていたイメージがあったけれども、本作ではほとんどのボーカルを本人が担当している。
それも聴いていると納得で、ほとんど自省録と言って良いくらい、彼のパーソナルな部分が出ている一枚になっている。

特にそれを感じたのは2枚目の「SHOPPINGMALL」。


tofubeats - SHOPPINGMALL (LYRIC VIDEO)

多少ディスみたいな雰囲気もあるが、ほぼ自問自答だと思われる。
元々ヒップホップ畑の人ではあるので、ある種の説教臭さみたいなものが漂うのだけれども、生来の育ちの良さというか「イイ奴」っぽさが見えて、青臭い感じも味になるという。
先日星野源のANNにゲストで来ているのを聴いていた時にも思ったが、とにかくこの人は「地元の良いあんちゃん」感がスゴイ。
多分、若い世代には「面白いお兄さん」だし、同年代には「イイ奴」だし、上の世代には「可愛い好青年」なのだろう。
人の良さみたいなものが1枚に凝縮されていて、まさにtofubeats26歳の等身大がそのまま切り取られている感じ。
楽曲としては、インスト曲「THIS CITY」からのSugar meをボーカルに迎えた「YUUKI」が個人的なお気に入り部分だ。
これだけパーソナルなアルバムと言っておきながら、ゲストボーカル曲をお気に入りに挙げるのも気が引けるが。

YUUKI

YUUKI

 

電気グルーヴとかスチャダラパー電気グルーヴ×スチャダラパー

6月の頭に、PerfumeFESに前夜祭と当日二日とも参戦した。
その前夜祭が電気グルーヴとの対バンで、それをきっかけにまずニューアルバム「TROPICAL LOVE」を購入した。
これはこれで良いアルバムで結構聴いていたのだけれども、例によってYouTube電気グルーヴの映像を巡っている内にスチャダラパーとのコラボにぶち当たった。
Perfumeのラジオ内で、かしゆか氏がお勧めしていたこともあって、「聖☆おじさん」のかっこよさにまず痺れた。 

聖☆おじさん

聖☆おじさん

そしてPerfumeFESの当日、チャットモンチーのステージを見ていたら、彼女達がスチャダラパーとのコラボ曲を披露。
これは、間違いなくスチャを聴けという神の啓示に違いないと勝手に思い、購入を決めた。

電気グルーヴとかスチャダラパー

電気グルーヴとかスチャダラパー

 

捨て曲なしで、とにかく聴いていて楽しいアルバムだ。
「ミッドナイトコネクション」のシュールさから「Love Love Session」の気怠いエロさに変わるところとかツボだった。
このアルバムに関しては、うまく説明できないので、とにかく聴いてみてもらいたい。

スチャダラパーは最近のエゴラッピンとのコラボ曲も素晴らしい。
MVののんさん含めて最高だった。


スチャダラパーとEGO-WRAPPIN' "ミクロボーイとマクロガール"(Official Music Video)

 

終わりに

こうして並べてみると、今年も既にかなり聴いていることが良く分かった。
そして、既に気になっていて欲しいアルバムが幾つかあるのだから、自分の欲の深さに驚いている。
元々備忘録として書いている記事だが、本当に自分でもまとめておかないと散らかってしまいそうなので、年末にまたまとめたいと思う。