童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2023年10月4日

新型コロナウィルスの流行によって最も変わったことの一つが、会議・打ち合わせの開催形態だと思う。
web会議システムが市民権を得て、多くの会議・打ち合わせがリモート化された。
ここ2年くらいの間は、学会がリモート開催という場合も多く、かく言う自分も国際学会での発表をリモートで行う機会が何度かあった。

5類移行に伴ってイベント開催などの制限がなくなった今、どうなったかと言うと、依然として会議・打ち合わせの類はリモートのままになっている。
外部組織での会議(学会のプログラム委員とか)や研究打ち合わせは勿論、内部の会議でもリモートの方が楽である。
不必要な出張が減らせるし、情報の共有や会議情報の保存も手間が少ない。
何なら自分が出張のための移動中でも、外部から繋いで傍聴することは可能だったりする。

あまり褒められたものではないけれど、もう一つの大きな利点は内職がしやすいということだろう。
多くの会議・打ち合わせは、自分が主催者でもない限り、聞くべきパートと聞かなくても良いパートが存在する。
オンサイトで開催している場合でも内職は可能だろうが、常に人の話が聞こえている環境はやり辛いし体面も良くない。
今は良いかな…というタイミングで、気兼ねなく内線電話の対応をしたりメールを処理したりできることは、多くの人にとって都合が良かったのだろうと思う。

一方で、学会の開催は、リモートからオンサイトへ戻りつつある。
これは、まあそうだろうなと思っていた。
何より、学会の本来の目的である情報交換の効率が著しく悪い。

一つは時差の問題で、聞きたい講演があっても深夜3時に始まる…なんてこともざらだった。
口頭発表は接続トラブルを避けるために、事前に発表動画撮影してアップしておくスタイルもあったが、LIVE感がなく情報交換という印象が薄められているように感じた。
滔々と語られる発表を皆でただ眺める時間は、とてもシュールだった。
ポスター会場は、web上に会場を作ってアバターを操作しながら発表を聞くというスタイルが良くあったが、こちらもあまり盛り上がっていなかったと思う。
近づいてきたアバターに話しかけて説明しようと思ったら、その人が一目散に逃げだした…なんてこともあった。
それに、上記の会議・打ち合わせの話とは矛盾するようだが、内職ができてしまうことでかえって、講演への集中力が削がれてしまう。
僕の聞き方が悪いだけかも知れないが、リモートとオンサイトでは受け取る情報量に大きな差があった。

そして、学会の醍醐味、久々に会う外部の研究者と自由なお喋りをする時間がない。
これは研究者にとってとても重要なのだということが、この数年で良く分かった。
交換する情報は、何も研究内容に留まらない。
職場の愚痴や公募の噂、個人の近況報告、などなど…
学会終わりに連れだって居酒屋に行き、地方の特産品や地酒を飲みつつお喋りに花を咲かせる。
多くの研究者は、これを楽しみに集まっているのに、リモートではそれが難しい。
リモート呑みというのもないではないが、5名以上になると途端に雑多なお喋りが難しくなる。
これから控えている学会はいずれもオンサイト開催の予定で、今から自分も楽しみにいている。
まだ海外の国際学会のオンサイト開催には出張できていないが、この先はそれも復活してくるだろう。


…などと、仕事とは無関係リモート会議を聞きながら、内職で日記を書いてみた。