童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2023年11月20日

根を詰めてやらなければならない仕事が、とりあえず一区切り着いた。
多少寝不足気味ではあるが、何とか風邪もぶり返さずに済んでいる。
新型コロナからの回復もまだ完全とは言い難いので、しばらくは無理せず体力を温存したいと思っている。

さて、仕事を忙しくしている間に溜まった録画を消化していたのだが、先週の「水曜日のダウンタウン」の名探偵津田回がとても素晴らしかった。

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次々と巻き起こる殺人事件、それを解決しないと終われないというドッキリにダイアン津田さんがかけられるという趣向の企画で、今回が2回目となる。
ちなみに、第1回目は話題になっていることだけは知っていたけれども観ておらず、今回も新型コロナで伏せっているとき(先々週)に友人から薦められて観始めただけだった。
のだが、思いのほか面白くて、先週の解決編までしっかりと視聴、ダイアン津田というキャラクターにうっかり感動してしまった。

今回の名探偵津田は、地方ロケということで訪れた長野の村で、村長一家の連続殺人事件に巻き込まれてしまうというストーリー。
怪しい手毬唄になぞらえて次々と人が死んでいく、横溝正史を思わせるような王道ミステリーとなっていた。
僕が、とにかく素晴らしいと思ったのが、解決編中盤で明かされる最初の殺人に隠された秘密を目の当たりにした津田さんの反応だった。
最初の殺人が、実は自作自演のドッキリだった可能性がある、というものだったのだが、それを知って津田さんは大混乱する。
ストーリーの中で、被害者は津田さんをドッキリにはめるために殺されたふりをしていた、ということなのだが、そもそもこのストーリーそのものが「水曜日のダウンタウン」という番組によるドッキリ。
ドッキリの入れ子構造になっていて、その入れ子の中心に、彼は放り込まれている。
「ワケわからん!」としきりに頭を掻き毟る彼をみながら、人間がゲシュタルト崩壊に陥っていく様を記録した映像として、とても貴重なのではないかと思い始めた。
津田さんは混乱の末に、段々と自分の立ち位置(ドッキリのストーリーの中の存在なのか、それともその外側の人間なのか)すらもあやふやになり、言葉少なに「俺はどの世界の人間…?」と呟き始める。
彼のその反応は番組の筋書き通りだったのかも知れないが、映画の1シーンのような、強烈なインパクトを持っていたことは間違いない。
ただ観ているだけのコチラの足下すらも疑わしくなるような、まさに「自失」の瞬間だったと思う。

本来僕は、ドッキリが苦手な人間である。
誰かが騙されたり困ったり怯えたりする様をどうしても笑うことができなくて、逆に観ていて辛くなってしまう。
この企画は、基本的にはミステリーの連続殺人の荒唐無稽さをパロディにしているものだし、特に今回は2回目ということもあって仕掛けられている津田さんにも余裕があった。
それでも、ちょくちょく挟まれるドッキリ演出は気分が良くなかったが、あのゲシュタルト崩壊のシーンには、それを補ってあまりある味わいがあった。
苦手意識を持ちつつも、トライしてみて本当に良かった。
薦めてくれた友人には感謝している。