仕事場の別チームに所属する後輩が、メンタルの不調に陥っているらしい。
らしい、というのも、直接聞いたわけではない。
その後輩は、先日ここ1年の成果について内部向けに発表する場があったのだが、どうやらそこで、ちょっと意地悪な質問をされて答えに窮したそうだ。
そこへきて、いつも組んで作業をしている先輩が、特に助け舟を出さなかったらしい。
そのことを気に病んで、仕事場での信頼関係に自信が持てなくなっている…というような内容であった。
その話を直接聞いたのは当人と仲の良い同期(別部署)で、心配したその人が、わざわざこちらの部署に報告してくれたらしい。
今日、当人と同じチームのメンバーから、自分のところにも相談があった。
つまり、僕からすれば又聞きの又聞きである。
聞いた話をそのまま間に受けて答えるならば、何を甘えたことを…と正直思ってしまう。
発表の時に悪意のある質問や頓珍漢なコメントをされることなんて、良くあることである。
まともな質問ですらうまく答えられないことだってザラにある。
ましてや、発表は発表者に責任があるはずで、助け舟を出さなかった先輩を見失うのは、お門違いというものだろう。
それにその先輩に当たる人物のことは良く知っているが、助けなかったのはおそらく内部向けの発表だったからに過ぎない。
仮に間違ったことを答えていたとしても、それでどうなることでもない。
外部向けや業者との打ち合わせなどであれば、当然彼は口を挟んでいたであろう。
むしろ、内部向けだから良い機会だろうと放任した節もある。
しかし、世の中には、大変に傷つきやすい人というのが存在する。
自分も、本来はそういう気質を持っている人間なので分からなくもない。
大したことでもないし、正しくないのは自分の認識の方だと頭では分かっていても、悪い想像や不信感が止められなくなってしまう。
正論を言われれば言われるほど自己嫌悪に陥って傷つき、トラウマが増えていく。
これはほとんど反射なので、当人にもコントロールできない。
一つ一つ経験を重ねて、判例に沿った治療のツールを増やしていく他ないだろう。
ただ、今回のように相談をした相手が善意で動いて、当人が望んでいるかどうか判らない内に事態が拡大・深刻化していくのは頂けない。
規模が大きくなると、収まるものも収まらなくなることだってある。
というわけで、とりあえず自分は何も聞かなかった体で仕事のやりとりを続けている。
今回の当事者は、まだ20代。
自分も20代の頃は、自分の能力の限界にいちいち絶望していたので、全く人のことは言えない。
若い証拠だよな、と思うと同時に、当人が話す気になったら面倒臭がらずに聞いてやろうと偉そうに構えている。