童貞見聞録

アラサーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2016年の個人的ヘビロテ音楽備忘録

今年は「シン・ゴジラ」や「君の名は。」、「この世界の片隅に」含めて様々なヒット映画が生まれたことから、各所に「邦画当たり年」というフレーズが並んでいる。
僕自身もそのことは否定しないが、個人的には音楽の当たり年でもあったなとしみじみ思っている。
というか、今年はよくCDを買い、よくCDを聴いた1年だった。
多分、月に1枚くらいは買っていたのではないだろうか。

元々僕は、このダウンロード時代には珍しくCDを買う派の人間だ。
好きなアーティストの1枚は盤として残しておきたいし、何よりジャケットや歌詞カード、写真、何なら帯まで、CDそのものが作品として好きだからだ。
今年、特に名作に良く出会えたにしても、加速度的にCDを買いまくった原因は、やはり車の存在が大きい気がする。
車の中では必ず何かしらの音楽をかけているし、家族や友人と遠出をする機会も多かった。

備忘録として、2016年に特に聴きまくっていた作品を書き留めておく。
今年の作品ではないものも含まれているが、とにかく今年よく聴いていた1枚なので一緒にまとめておくことにする。

 

「YELLOW DANCER」星野源

YELLOW DANCER (初回限定盤A)

YELLOW DANCER (初回限定盤A)

 

いきなり今年の作品ではないが、2015年の暮れにリリースされて、本当に今年はこの1枚にお世話になった。
そして、「逃げるは恥だが役に立つ」の大ヒットによって、星野さんは今やアミューズの稼ぎ頭になりつつある。
福山氏の結婚で下がった株価も、おそらくこれからぐんぐんと上がっていくことだろう。
私自身も去年の暮れにこの素晴らしいアルバムを聴いて大好きになり、春に始まったオールナイトニッポンを欠かさず聴き、本当に星野漬けの1年だったと言っても過言ではない。

彼自身が解説しているように、ブラックミュージックが非常にうまく日本的な解釈と手法で捉えられていて、音楽的にもとても意欲的な作品になっている。
ソウルやR&B好きな人間が気に入らないわけがない。
個人的には、このアルバムを象徴する作品として、「桜の森」が特に心に残っている。
イントロのシンセをループさせるだけのトラックが欲しいくらいに、とにかく全体を通して気持ちがいい。

歌詞も意味深(エロ)でありながらどこか牧歌的で、何ならNHKみんなのうたでもハマったではないかという気がする。

あそこの森の 満開の下は
虫もその他も 土を開け 外に出てくるだろう
どけそこどけ 欲しいのは光
君もその他も 胸を開け 足を開け 踊るならば

星野源オールナイトニッポンの人気コーナー「夜の国性調査」に通じるものがある。
譜割りも完璧で、口ずさむだけで気分が良くなる。

桜の森

桜の森

 

「幸福」岡村靖幸

今年1月に出た岡村ちゃんのアルバム。

幸福

幸福

 

実は、恥ずかしながら僕が岡村ちゃんを好きになったのはつい最近で、スペース☆ダンディのOPがきっかけだった。
ビバナミダが余りにも好きすぎて配信で購入し、その後YouTubeで「ぶーしゃかLOOP」を聴いて完全にハマった。
アルバムの発売を楽しみに待ち、満を持しての購入だった。
どこを切り取っても岡村ちゃんにしか作り出せないサウンドに溢れていてまさに捨て曲なし。
全体を通して、突き上げるような重めのビートとベースが、夜の高速運転にぴったりだ。
ベボベの小出さんとのコラボ曲「愛はおしゃれじゃない」もポップで良いが、不穏なリズムが理屈抜きに体の自由を奪ってくる「新時代思想」も良い。
でも、「ぶーしゃかLOOP」はオリジナルの方が好みだ。


ぶーしゃかLOOP

 

I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It」The 1975

長いがこれが正式なアルバムタイトルだ。
CD屋で購入したのだが、店頭で見つからずに店員さんに在庫を聞くとき苦労した覚えがある。

きっかけはラジオで聴いた「The Sound」だったと思う。
懐かしいようでいて、シンプルで洗練されたアレンジに一発で気に入り、その後YouTubeで「UGH!」を聴いて怒涛のヘビーローテーションが始まった。
この1枚は全体を通して一つの映画のような作りになっており、全17曲と大変収録曲が多いのだけれども、一本筋の通った一枚になっている。
親の影響で中学生の頃よく聴いていたサイモン&ガーファンクルに似た雰囲気があり、不思議な浮遊感と寒いほどの清涼感が味わえる。


The 1975 - UGH!

生き辛さが服を着ているようなマシューのボーカルが、直接心を掴んでくる。
それにしても本当に彼は不安定に見えるので、エイミー・ワインハウス氏のような最期を遂げるのではないかと今から心配している。

 

「ダウトの行進」空想委員会

ダウトの行進【豪華な通常盤】

ダウトの行進【豪華な通常盤】

 

去年、Perfumeが武道館で行った記念ライブの企画の一つに三人祭というものがあった。
要するに、3人組のアーティストを集めたFESのようなもので、空想委員会はその一組として招かれた。
残念ながら現場には行けなかったのだが、特設サイトで彼らの曲を知り、見事にその魅力にとりつかれた。

以前、許せる失恋ソングとして記事に載せたこともあったが、とにかく三浦委員長の書く、心の中のぐちゃぐちゃをそのまま言葉にしたような歌詞が良い。
楽曲自体も、コードこそ似たものが多いが、リズムや拍子のとり方が面白いので不思議と飽きが来ない。
リズムにこだわりがあるだけあって、譜割りも気持ちよく、三浦委員長の内面が歌詞カードを見なくてもそのまま伝わってくる。
何かのインタビューで読んだのだが、彼は、自分の経験した負の出来事や感情しか歌えないらしい。
Cocco氏と言っていることが近い気がする。
何て生き辛そうなのだろう。素晴らしい。

ここでは「春恋、覚醒」を貼っておく。


空想委員会 / 春恋、覚醒 Music Video

通学中の電車でいつも一緒になる女の子に恋をするんだけど、しばらくして向こうが通勤電車を変えたことで勝手に失恋する、という歌である。
彼女が読んでいる本を自分も買って読んだり、聴いている音楽を自分も聴こうとしてみたりかなり危ない。
極めつけはこの歌詞。

あ~僕と君が混ざり合う感覚だ
あ~始発のため起きるのも苦ではない

正直怖いが、ここまで素直に歌詞にされると恐怖を通り越して愛しさがこみ上げてくる。

 

「COSMIC EXPLORER」Perfume

以前の記事でも述べたように僕はPerfumeの大ファンだ。
そんな彼女たちのニューアルバムなのだから買わない(聴かない)わけがない。

COSMIC EXPLORER(初回限定盤A)(2CD+Blu-ray)

COSMIC EXPLORER(初回限定盤A)(2CD+Blu-ray)

 

彼女たちのアルバムはいずれも皆素晴らしいが、本作に限っては、聴き始めて「Navigate」「Cosmic Explorer」「Miracle Worker」と進んでいったところで、ドキドキわくわくが止まらなくなり、彼女たちの不朽の名作「GAME」以来の興奮を経験した。
しかし、よくよく考えてみれば「カウボーイビバップ」と「スペース☆ダンディ」をこよなく愛する僕にとっては、完全にツボをつかれた一枚だったので、そうなることはあまりにも当然と言えた。
フルでのライブ披露がほぼない不遇の名曲「Sweet Refrain」を貼っておく。
衣装も素晴らしい。


[MV] Perfume 「Sweet Refrain」

楽曲の素晴らしさやこの一枚を引っ提げてのツアーの素晴らしさについては、長くなるので省くことにして、ここでは趣向を変えてデザインの良さに触れておきたい。
本作では珍しく、吉田ユニさんがジャケットのデザインに入っている。
星野さんの「YELLOW DANCER」や「恋」のPVなんかにも関わっているので知っている人も多いかもしれない。
3人を記号化して幾何学模様のようなデザインにするアイデア
これは、ある意味でPerfumeというグループの魅力の一つを端的に示す表現のように思える。

昔から、Perfumeには「媒体」としての強い魅力があると思っている。
つまりどういうことかと言うと、様々なクリエーターが表現をする場・ツールを提供する存在として、価値が高いということだ。
おそらくそれは、彼女たちの職人気質的なパフォーマンス力と、どんな現場もホームに変えるコミュニケーション力、ピンチに強い経験値と度胸が可能にしているのだろう。
今や中田ヤスタカの名前は多くの人が知っているが、その名を広めたのはPerfumeという媒体であったと言える。
中田ヤスタカ氏の器として、MIKIKO先生の器として、関和亮氏の器として、真鍋大度氏の器として、Perfumeはいつも最高の形で我々に作品を提供してくれる。
ここはファンの間でも意見が分かれるところだが、僕自身は結構中田さん以外の曲を歌うPerfumeというのもたまには見てみたいと思っている。
紅白で披露されたディズニーメドレーの3人は、中田印の音楽でなくてもとても評価が高いし、やってみれば結構面白いのではないか。

 

「天声ジングル」相対性理論

天声ジングル

天声ジングル

 

相対性理論は、学生だった頃、狂ったように聴いていたバンドの一つだ。
個人的に相対性理論のアルバムは、「ハイファイ新書」がとてつもなく好きである。
真部さんの曲をやくしまるさんが歌う組み合わせにおそらく弱かったのだろう。
2012年に真部さんが離れて、その後のアルバム「TOWN AGE」は悪くはなかったけれどもハマり方は弱くなっていた。

けれども、今回の「天声ジングル」は久しぶりにハマった。
真部さんがいなくても、ちょっと別の形で僕の中にうまく収まった感じで、夏くらいにかなり聴いていた。
特に、冒頭「天地創造SOS」から「ケルベロス」「ウルトラソーダ」の流れが大好きだ。


相対性理論 - ウルトラソーダ - Single

 

「Talking Is Hard」WALK THE MOON

Talking Is Hard

Talking Is Hard

 

2014年リリースだが、今年ラジオで知って良く聴いた1枚だ。
サウンドも80年代と言われるように懐かしい雰囲気があって、全体的にとってもポップ。
シンディ・ローパーとか大好きだった僕にとって、大好物な感じのアレンジ。
「Avalanche」辺りを聴きながら車を運転するのは最高に気持ちいいし、雨の日に「Aquaman」とか聞くのもいい。

あと、彼らの美術センスもかなり好きで、「Work This Body」のMVの衣装にはかなりやられた。
ストーリーには、「え、それで解決なの?」という印象を持ってしまうが、衣装が可愛いから許せてしまう。


WALK THE MOON - Work This Body (Official Video)

 

「ネオ」KIRINJI

ネオ(初回限定盤)(DVD付)

ネオ(初回限定盤)(DVD付)

 

新生KIRINJIになってから2枚目のオリジナルアルバム。
バラエティに富んでいて全く飽きさせない1枚。
秋のうた、夏のうた…と季節を抱き込むだけでは飽き足らず、1曲目の「The Great Journey」に至っては人類16万年の歴史すらも内包してしまう懐の深さ。
この世界の片隅に」で認知度がうなぎ上りのあのコトリンゴさんが、夏の男女がラブホテルの空きを求めて彷徨う楽曲に参加しているなんて。


KIRINJI『ネオ』ダイジェスト・ムービー

個人的には「日々是観光」「ネンネコ」辺りが刺さって、夏から秋にかけて相当なヘビーローテーションに陥っていた。
「日々是観光」は、コトリンゴさんと堀込さんの掛け合いと声の重なりがとても気持ちよく、例えば合唱アレンジとかでも素敵になるのではないかと想像していた。
青臭いメッセージソングよりこんなお洒落なNHK音楽コンクール課題曲もありじゃないかと思う。

 

Fantôme宇多田ヒカル

Fantôme

Fantôme

 

わざわざ僕が説明するまでもなく、今年の1枚だろう。
以前の記事でも書いたように、彼女の存在は僕にとって特別で、今までになく温度の高い1枚に、聴いているとこみ上げてくるものがあった。
全体を通してアレンジもかなり挑戦的な試みが見られるし、変な話だが「俺の彼女」なんかは東京事変なんかを思い出してしまった。

同性愛っぽい立場からすると、明らかにそれを意識して書かれたと思われる「ともだち」はかなり印象的に響いた。
ちょうど、一橋大学で起きた不幸な出来事に関する記事を読んで、アウティングについて考えていた時期だったので余計に。
シンプルで生音を使ったアレンジ、身を切るほど切ないのにときめきが交じる見事な一曲に仕上がっている。

ともだち with 小袋成彬

ともだち with 小袋成彬

 

 「Joanne」Lady Gaga

Joanne (Deluxe Edition)

Joanne (Deluxe Edition)

 

こちらも言わずと知れたガガ女史のニューアルバムだ。
大概の同性愛者の傾向に漏れず、僕も彼女のことは憎からず思っていたのだが、おそらく今回のアルバムが最も僕好みだったと思う。

沢山ある彼女の魅力の内、僕が最も魅かれるのが声だ。
なので、割と強い音が重なったアレンジよりも、彼女の声が良く聞こえるシンプルなものの方が良い。
それだけに「Born This Way」の時は、アレンジが強すぎてちょっとアルバムを買ったのを後悔したくらいだった。
トニー・ベネットとの「Cheek to Cheek」で、彼女の声の魅力を再確認して、こんな雰囲気のオリジナルアルバムが出ればいいのにと思っていた矢先だった。
声が堪能できる一枚で本当に嬉しい。

A-Yo

A-Yo

 

終わりに

それにしても、今年は全体的にキャリアのあるアーティストが、原点回帰とかシンプルな形での表現にする傾向が強かったように思う。
今回ヘビロテとしてまとめるには至らなかったが、長年追いかけていたNorah JonesAlicia Keysも今年のアルバムはかつての雰囲気に戻り、シンプルな表現になっていた。
その視点から2016年を総括してみるのも面白いかもしれない。
いや、単に僕が歳をとって、懐古主義やミニマリズムのようなものに染まりつつあることが原因なのかもしれない。