童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2017年下半期の個人的ヘビロテ音楽備忘録

ダラダラしている内に年が明けてしまった。
年の終わりに1年を振り返ることもできず、それどころかタイトルだけ付けた記事を幾つも残したまま、2018年を迎えてしまった。
何だか情けないスタートになって恥ずかしいのだけれども、今年も無理せずマイペースに続けられたら、と考えている。

とりあえず、2017年の決算を終わらせるところから始めたい。
まずは、音楽振り返り。
上半期からこっち、また幾つもCDを購入して、幾つも名作に出会った。
一通りまとめておく。

続きを読む

希望のかなた

11月前半からずっと実験が続いていて、なかなか映画館に行くこともできないでいたのだが、先週の日曜日に何とか渋谷のユーロスペースに滑り込んだ。
大好きな映画作家の一人であるアキ・カウリスマキ監督の新作が公開中なのだ。
大学生の頃に、やはりユーロスペースで出会って以来、このフィンランドの巨匠の映画の世界に惚れ込んで、新作はもちろん、旧作のリバイバルもなるべく足を運んで追いかけている。
ちなみに、まだお金がなかった大学院生の頃に、彼の作品のBlu-rayボックスを(プレーヤーがないにもかかわらず)無理して買ったのだが、あれは未だに良い買い物だったと思っている。

前作「ル・アーヴルの靴みがき」から5年、待望の新作公開だった。
監督自身が難民3部作の2作目と称した本作は、シリア難民のカーリドを主軸に物語が展開される。


映画『希望のかなた』予告編

kibou-film.com

続きを読む

寄席のまとめ

初めて寄席に足を踏み入れてから、もう6年位経っただろうか。
通い始めた頃は東京で学生をしていたため、近所に4軒も常打小屋(定席)があるという大変恵まれた環境にあった。
就職してからはかつてほど行けなくなってしまったが、それでも、折をみて同僚や友人を誘いつつ門を潜っている。

テレビ(特に笑点)のおかげで、落語を聴いたことのある人は多い。
しかし、寄席で落語を観たことのある人はどれ位いるだろうか。
何でもそうだが、生で体験するものはテレビ・ラジオと伝わり方がまるで違う。
演者と客の共感を大切にする芸術である分、落語は「生」のときに最も輝く気がしている。
それに、寄席は作法も少なく客の楽しみ方に自由度があるので、他の伝統芸能(能とか狂言とか)に比べて堅苦しさがない。
前知識もほとんど必要ない(あった方が良いが)。
日本語を解する人間であるならば、誰でも楽しむことができるはずだ。

この記事では、都内の常打小屋4軒を紹介したい。
半分は布教のため、半分は自分のためだ。
4軒それぞれに特徴があるので、この機会に情報をまとめておきたい。

 

続きを読む

ファンタジーのリアリズム

研究は、客観的事実を積み重ねて物事に潜む普遍性を見出していく作業である。
そうした作業の中での発見は、論文という形でまとめられ、他の研究者に伝えられていく。
従って、論文においては、如何に論理的で、かつ、その論理が明快であるかが重要視される。
普段、仕事場でそうしたノンフィクションを読んだり書いたりしているせいか、プライベートではむしろフィクションばかりを好んで読んでいる。
フィクションの自由な記述とアプローチは、息苦しさがなくて心地良い。

ファンタジーは、世界観の構築から始まって、キャラクター設定・ストーリー展開に至るまで、全てがフィクションである。
最も現実から遠いジャンルであると言えるが、その実、描かれているテーマは極めて現実的であったりする。
入れ物を敢えて現実と離れたものにすることで、むしろ筆者が描きたい人間の特質や社会への考察が絞られて明確になる。
特定の切り口から世界を記述する、という点では、論文と共通している。
ファンタジーを楽しむ自分と仕事の時の自分、スタンスとしては余り大差ないのかも知れない。

というわけで、僕としては、単に設定の面白さだけでなく、その先にあるリアリズムまで踏み込んだ作品が好ましい。
多くのファンタジーが発表されている中で、最近特に気に入っている2作品についてまとめる。

続きを読む

タダより高い物はない

第1シーズンに引き続き、「ねほりんぱほりん」を楽しみに観ている。
元々「ねほりんはほりん」という特別番組からスタート、満を持してレギュラー化された第1シーズンでは、放送時に必ずTwitterのトレンドワードに挙がるほど話題を集めていた。
所謂、覆面インタビュー番組なのだが、顔出しできないことを逆手にとって、人形劇と組み合わせたという大変画期的な番組である。
ゲストも「ハイスぺ婚女子」や「ナンパ教室に通う男」など、際どいところを攻めていて、なおかつ素晴らしい人材を拾ってきている。
インタビュアーである山里亮太さんとYOUさんが、ちゃんと危ないゲストも受け入れて視聴者が食べられるように料理してくれるので、安心して観ていられる。
毎週笑ったり泣いたりしながら、終わった後は不思議と寛容さが身に付いて人に優しくなれるという、まさにEテレに相応しい教育番組になっている。

www4.nhk.or.jp

さて、そんな「ねほりんぱほりん」で、先日「パパ活女子」の回が放送された。
いつものように面白かったのだけれども、この回を観ていて、僕は言い知れぬ恐怖感に襲われた。
テレビを観ていてここまで怖いと思ったことはなかなかなかったので、番組の紹介がてら記事にまとめておこうと思う。

続きを読む

煙草×映画

最近またタバコ税が話題になっている。
僕自身は愛煙家ではないし、喫煙をしたことすらない。
ただ、分煙はきちんとした方が良いと考える一方で、昨今の喫煙者に対する過剰なバッシングは少しやり過ぎではないかと感じている。

かつて僕が学生だった頃、居室のあった建物の一階フロア(外)に喫煙スペースが設けられていた。
暑かろうが寒かろうが、喫煙者はその場所に行って吸っていたのだが、ある日、そのスペースが変更になった。
何でも、一階で吸っている煙が上の階まで登ってくるから迷惑だ、ということらしい(冷暖房が完備された建物内で窓を開け続けている人がいたことに驚いたが)。
それからは、喫煙スペースが屋上に設けられ、屋上の入り口を事前登録したICカードで開錠しなければ吸えなくなってしまった。
ところが、これでも終わらず、今度は喫煙を終えた彼らがエレベーターで降りてくるため、直後のエレベーターが煙いという苦情が入ったのだ。
しばらくエレベーター内に空気の汚染度を測るマーカーのようなものが設置されていて、何て馬鹿げたことに金を使っているのだろうと思ったものである。
それ以降はどうなったのか確認していないが、きっと碌なことにはなっていないだろう。
確かに煙草の場合は、副流煙による健康被害などがあるために難しいのは理解するが、ここまで喫煙者を追い込む必要があるのか、と疑問を持ってしまう。

僕が、愛煙家でもないのに喫煙者の肩を持つのには理由がある。
映画における煙草の表現が大好きなのだ。
極端なことを言うようだが、煙草の表現が良い映画に外れなし、位に考えている。
今回は、「喫煙する権利」を守るための世間に対するアピールの一つとして、映画内における煙草の魅力をまとめておこうと思う。

続きを読む

ドリーム

しばらく振りに映画を観に行ってきた。
前評判の通り、ちょっと文句の付けようもない快作だったので、僕も自分なりに感想をまとめておこうと思う。


映画『ドリーム』予告A

「ドリーム」(原題「Hidden Figures」)は、NASAマーキュリー計画の成功の裏で偏見や差別と闘いながら活躍した3人の黒人女性たちを描いた作品である。
邦題は最初、「ドリーム 私たちのアポロ計画」であったところを「マーキュリー計画を描いているのに何故?」という批判の声を受けて変更された、という経緯がある。
それにしても、原題の良さが全く反映されず、何ともぼんやりとしたタイトルになってしまって残念だ。

続きを読む