童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

映画

Perfumeという依り代

1か月ほど更新をさぼっていた間、書きかけになっていた論文2報のお世話(投稿・改訂)をしたり、資格を取りに行ったり、その他面倒な仕事に追われたりしていた。ただ、それより何より大きかったのは、僕の長い間の推しであるPerfumeのお祭りが開催されていた…

若者を救え! ~ 来る x 天気の子

Prime Videoに「来る」が追加されたそうだ。 と言っても、プライム会員ではないので見直したというわけではない。ただ、Twitter上で話題に挙がっているのを眺めていて、劇場で観た当時のことを懐かしく思い出したのだ。そして、「来る」と同時に、その次の年…

アシタカへの誤解

新型コロナ騒ぎの煽りを受けて、映画館では新作映画がほとんどかからない。そんな穴を埋めるべく、現在、ジブリ作品がリバイバルで公開されている。 theater.toho.co.jp実を言うと、この4作品の内「千と千尋の神隠し」以外、劇場で観たことがなかった。もち…

万引き家族における生存戦略

「万引き家族」を観てきた。観たのはもう2週間も前で、僕なりの感想も煮詰まりつつあるのだけれども、一応ここに吐き出しておこうと思う。 作品が公開されればほぼ毎回劇場に足を運んできた是枝監督の最新作。既に、カンヌ国際映画祭でのパルムドール受賞で…

さよならの朝に約束の花をかざろう

相変わらず忙しいのだが、その合間を縫って映画を観に行ってきた。「あの花」や「ここさけ」といったヒット作で有名になった脚本家・岡田麿里さんが監督も務めたという最新作である。実は、「あの花」も「ここさけ」も何となく観る気になれなくて、今回が初…

否定と肯定

観に行きたいと思っていたのに都合がつかず、公開終了間際に滑り込むことができた。 hitei-koutei.com映画『否定と肯定』予告 歴史修正主義が蔓延るいま、絶対に観ておくべき映画だろうと意気込んで観に行った。当初は、歴史修正主義の嘘がドラマティックに…

希望のかなた

11月前半からずっと実験が続いていて、なかなか映画館に行くこともできないでいたのだが、先週の日曜日に何とか渋谷のユーロスペースに滑り込んだ。大好きな映画作家の一人であるアキ・カウリスマキ監督の新作が公開中なのだ。大学生の頃に、やはりユーロス…

煙草×映画

最近またタバコ税が話題になっている。僕自身は愛煙家ではないし、喫煙をしたことすらない。ただ、分煙はきちんとした方が良いと考える一方で、昨今の喫煙者に対する過剰なバッシングは少しやり過ぎではないかと感じている。 かつて僕が学生だった頃、居室の…

ドリーム

しばらく振りに映画を観に行ってきた。前評判の通り、ちょっと文句の付けようもない快作だったので、僕も自分なりに感想をまとめておこうと思う。 映画『ドリーム』予告A 「ドリーム」(原題「Hidden Figures」)は、NASAのマーキュリー計画の成功の裏で偏見…

マインド・ゲーム

先月、早稲田松竹で湯浅政明特集が組まれた。今年は、「夜は短し歩けよ乙女」「夜明け告げるルーのうた」と名作を連発し、改めて過去の作品にも注目が集まっている。週末はかなりの人を集めて立ち見でも入れないという状況だったようだが、幸運にも平日に行…

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

先週末、東京で友人の相談事に付き合った後、兼ねてから観たいと思っていた作品を渋谷のル・シネマまで観に行ってきた。 映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』予告編 ちなみに、ル・シネマに来たのは数年ぶりだったが、相変わらず客層が…

KING OF PRISM -PRIDE the HERO-

友人に誘われて、ずっと体験したいと思っていた応援上映に参加してきた。 kinpri.com 劇場版「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」劇場予告 色々と衝撃だった。衝撃が大きすぎてどっと疲れてしまった。日曜の20時の回を友人2人と1, 2杯飲んだほろ酔い状態で…

利他主義の抱える矛盾 〜美しい星〜

父と二人で「美しい星」を観に行ってきた。 父親と二人っきりで出かけるなど、何年振りだろうか。映画まで限定すると、もしかしたら小学生以来かも知れない。最近、懇意にしていた友人が亡くなって、卒寿を迎えたばかりの祖母が気を落としているらしいという…

生と死の不可分性 ~夜明け告げるルーのうた~

先日、「夜は短し歩けよ乙女」の感想をまとめたばかりだが、湯浅監督のオリジナル作品「夜明け告げるルーのうた」が公開されている。先月19日に公開でまだまだ観られるだろうと高を括っていたら、何と残り数日で公開終了と言うことで焦って観に行ってきた。…

同性愛映画のハッピー/バッドエンド ~ ムーンライト×ブロークバック・マウンテン

1か月以上前、忙しい期間に入る直前に日比谷で「ムーンライト」を観てきた。 同性愛映画は大好物なので、割と楽しみにしていた。そして、期待以上に美しく、繊細な作品だった。今頃になって感想をまとめるのもどうかと思うが、時間が経つほどに書きたくなっ…

夜は短し歩けよ乙女

「夜は短し歩けよ乙女」を観に行ってきた。 元々、森見登美彦氏の作品が大好きで、制作決定の報せを受けてから、ずっと楽しみに待っていた。森見作品で人間が主人公のものは、童貞こじらせて自意識こねくりまわしているようなのが多いので、共鳴するところが…

死の魅力 ~リリィ・シュシュのすべて~

最近気になるニュースがあった。 www.asahi.com僕の素直な感想は、4人に1人とは随分少ないな、だった。 僕自身は、中学1年生の時によく自殺したいと考えていた。大学に入学する際、ストレスチェックテストのようなもので、「自殺を考えたことがあるか?」と…

彼らが本気で編むときは、

先日のLA LA LANDに続いて、荻上直子監督の「彼らが本気で編むときは、」を観てきた。荻上監督は、「バーバー吉野」や「カモメ食堂」が割りと好みで、その後の作品もちょこちょこ観に行っていた。一時期大ブームになった食べ物が美味しそうなお洒落ゆる旅系…

LA LA 落語が観たい

引っ越しからの実験、学会準備で忙しい日々を過ごしていて、なかなかブログを書くことができない。書きたいことがあるのに書けないのはなかなか焦れるものだ。とりあえず、引っ越しに関連して独り暮らしについて書きたいと思っていたのだけれども、時間がで…

ストーカーと映画 ~ トーク・トゥ・ハー × アンナと過ごした4日間

僕はストーカー映画が好きだ。いや、ストーカー映画などというジャンルはないのかも知れないけれども、とにかくストーカーが題材になっている作品が大好物だ。 そもそも映画に限らず芸術作品とは、自分とは全く異なる人間の心の動きを追体験させてくれるとこ…

息子のまなざし

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督との出会いはかれこれ何年前になるだろうか。大学の授業が空いていたからとかそんな理由で恵比寿まで足を延ばし、まだリニューアルする前のガーデンシネマで「ロルナの祈り」を観たのが最初だったと思う。とにか…

この世界の片隅に

「この世界の片隅に」の2回目の鑑賞に行ってきた。 konosekai.jp先月、渋谷ユーロスペースで友人と初めての鑑賞。その情報量の密度、完成度の高さ、圧倒的な面白さにうまく感想がまとめられずにいた。そのままパンフレットを購入し、さらに原作も買って読み…

研究者の人生設計 ~トトロの「お父さん」~

先日、金曜ロードショーで「となりのトトロ」が放送された。子供の頃から何度となく観てきた作品で、ほぼ間違いなく人生で最も観た映画だろう。何なら1日に2回観た日もあったと記憶している。現在「理不尽な運命に懸命に耐える子ども」とか「子供だけが理解…

物語のなかの渋谷

先日、ほとんど衝動的にPS4を購入して以来、時間を見つけては続けていたペルソナ5の1週目をようやくクリアした。素晴らしい内容だった。子どもの頃からホームズよりルパンが大好きだった僕にとって、やはり「義賊」というのは殺し文句らしい。主人公に「東尋…

人間性の回復 ~ 聲の形 × アクト・オブ・キリング

「聲の形」を観てきた。先日「君の名は。」を観に行って、全く乗れなかったということを記事にしたが、こちらはある意味で対称的な作品で、僕にとっては親和性の高いテーマであり、無事に没入することができた。 ただし、こちらも「君の名は。」とは全く別の…

音楽の光と影 ~ シング・ストリート 未来へのうた × AMY エイミー

一週間ほど前に、ずっと観たかった映画2本をはしごするために東京に行ってきた。 大学で映画館に頻繁に通うようになった頃、いわゆる名画座というものに出会い、かなりはまった。名画座とは、既に公開が終了した作品を対象に2本あるいは3本立て、オールナイ…

君の名は。

世間で評判の良い「君の名は。」を観てきた。 結論から言うと、観たことを強く後悔した。面白くなかったとか作品として駄目だったということではない。むしろ完成度は高かったし、人には勧めたい作品だった。ただ、僕の個人的な理由で、大変辛い気持ちになっ…

学校教材としてのシン・ゴジラ

ようやく「シン・ゴジラ」を観てきた。 すでに、熱量・情報量ともに多い素晴らしいレビューが世に溢れているし、エヴァとの関係や特撮の素晴らしさ、伊福部音楽の有難み、3.11との関係etc散々語りつくされているので、ちょっと視点を変えて感想をまとめてお…

ハッシュ!

僕は映画館が好きだ。 もちろん映画そのものも好きではあるのだけど、特に映画館という場所がとても好きだ。

バケモノの子

先日の金曜ロードショウで放送された分を、ようやく観ることができた。映画のレビューとして、というよりも、最近思っていたことと重なって、これは書き留めておいた方が良いかな、ということで記事にすることにした。