童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2024年4月30日

昨夜、中学校の頃の友人たちとオンライン飲み会があった。
僕は諸事情あって呑めなかったので厳密には飲み会ではなかったが、それでも繋いで話していた。
定期的に飲み会をしているメンバーだったので、特に懐かしいという感じでもなかったけれど、お互いの近況を確認してそれなりに話は盛り上がったと思う。

その中で特に盛り上がった話題が、メンバーの一人に恋人ができたという話だった。
彼とは長い付き合いだけれども、記憶する限り恋人がいたという話は聞いたことがなかった。
付き合いが途絶えていた時期もあるので、僕の知らないところではそれなりに合ったのかも知れないが、少なくとも彼がそれを話題に挙げたことはなかった。
重い持病があって時折手術を受けていたり、少し不安定な仕事をしていたりすることもあって、どちらかと言うと内向的と言うか、進んで恋人を見つけようとするタイプにも見えなかった。
それが、昨日の夜は自ら「彼女ができた」と報告して、割と惚気ている印象だった。

他人の恋路を肴にしたくて仕方がない他のメンバーが、根掘り葉掘り聞いていた。
何でもお相手は、10個近く歳が上の同僚らしい。
ふとしたきっかけでお互いの趣味が合うことが分かって食事に行くようになり、次第に会う頻度が高くなって、今では頻繁に互いの家を行き来しているそうだ。
微笑ましいなと素直に嬉しく聞いていたのだけれど、途中で他のメンバーが不満を漏らし始めた。
きっかけは、彼がした「どっちが告白したの?」という質問だった。
答えは「別に告白はしていない」というもので、それがどうも不満だったらしい。
彼曰く、確認していないのになぜ付き合っていると言えるのか、ということだった。

確かに一理あるとは思ったが、僕は、当事者の二人がそれで満足しているなら別に良いのでは、と言うようなことを述べた。
が、全く腑に落ちていないようだった。
どころか、そういうことが気になってアレコレ聞いてしまうのだけれども、こういうことは今の時代ハラスメントになるのだろうか、などと世の中を嘆いていた。
多様性を認めていかないといけないもんな…と呟いている姿がすっかりオジサンで、何だか印象に残っている。
確かに不満を漏らした彼は教職に就いているので、その辺りは敏感であるべきだろう。
そんなことを呟いている時点で既に信号は黄色に変わっている気もしたが、昔からの付き合いの飲み会だったので強く窘めることはしなかった。

ただ、今回のことは、結構大事な問題を孕んでいたような気がする。
おそらく、付き合い始めた彼のパートナーが同世代か少し下くらいだったとしたら、僕も、(そうは言わないまでも)ちゃんと告白しておかないと相手に失礼だと思っただろう。
しかし、今回相手はかなり年上の40代後半。
おそらく、結婚して子供を産んで…というような将来設計を想定しているような感じではない。
一緒にいてほっとできる相手を見付けて、これからの人生を一緒に歩いていければ、と思っている感じがする。
だから僕も凄く良いなと思ったし、微笑ましく思ったのだった。
不満を漏らした彼は、体育科の教員になって同業の女性と早々に結婚、現在3児の父になっている。
彼にとっての恋愛観はせいぜい30代前半くらいで止まっていて、いまだ家族形成とセットになっている可能性がある。
その立場からすれば、そんなフワフワした恋人関係は理解の外だろう。
日向を歩く彼にとっては、酷く不実なものに映ったかも知れない。

僕としては、誰に何を言われようと、本人たちが幸せな道を歩いてもらいたいと思っている。
こちらも30代後半まで童貞を謳歌して好き放題生きているので、家族5人を支える彼からすれば不真面目極まりないことだろう。
でも、人間には誰しも自分の幸福を追求する権利があって、僕の場合のそれは、彼の持っているものと違っている。
彼には、その違いを認められる教員であって欲しいと思っているので、一度はそういう話を真面目にするべきなのかも知れない。