童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2024年1月26日

数日前に、他大学の人とリモートで研究打ち合わせをした。
彼らとはもう10年くらい前からの付き合いで、論文も何報か一緒に書いている。
昨年、またちょっとした成果が出たので論文にまとめようと言う話になっていて、その進捗確認と進め方の相談も兼ねた打ち合わせだった。

向こうの学生さんに色々とお願いしていた部分もあって、前回の打ち合わせの時に、いくつかデータを送って欲しいということを頼んであった。
ところが、待てど暮らせどそのデータが来ない。
そうこうしているうちに通常業務が忙しくなってしまって、論文執筆どころではなくなってしまった。
頭のどこかで催促しなきゃなあと思いつつ、ついに打ち合わせの日になってしまった、という感じだった。
僕としては、まあ送ってくれたとしてもそんなにちゃんと論文が書けたかと言うとそんなことはなかったと思うので、次の時にまた頼めば良いやくらいに思っていた。
が、その打ち合わせが少し燃え上がってしまった。

考えてみれば当たり前で、相手方の先生にしてみれば、自分のところの学生が外部の先生に頼まれたデータをいつまでも送らずに放置していたと言うことなのだ。
そりゃあ厳しく指摘しないわけにはいかない。
声を荒げてきつい物言いになるような方ではなかったけれども、前回の打ち合わせの後に僕が送った欲しいデータリストなどをちゃんと見たのか、何故送っていなかったのか、と言うことを一つ一つ詰め始めた。
学生さんの方も、途中でことの重大さに気付いたのか無惨なくらいに萎れてしまって、後半はデータについて質問しても荒い息遣いだけが聞こえてきてまともに返答できていなかった。
データが送られてこないことを良いことに後でで良いやと高を括っていた部分もあった僕は、ちょっとした罪悪感もあって何とかフォローしたいと思ったのだけど、流石に彼の分が悪過ぎた。
途中から、遅筆の僕が責められているような気までしてきて、反省してしまった。

そう言えば、学生が先生に叱られていると言うあの状況、久しぶりだったかも知れない。
かつて自分が学生だった頃は、そんなのしょっちゅう見ていたし、何なら自分が叱られる側だったことも数え切れないほどある。
とても居た堪れないあの感じ。
懐かしさとともに、もうしばらくは味わいたくないと思ってしまった。

今も昔も、緊張したり焦ったりで、震えるような学生の声はどうしても好きになれない。
その状態であれこれ質問しても、まともな回答は得られないし、本人もさらに焦るばかりで良いことが一つもない。
落ち着きを取り戻してもらって、後日改めてメールを入れてもらった方がマシだと思ってしまう。
ただ、最近学会で学生さんの口頭発表を見ていると、心配になるくらい緊張している姿をよく見る気がする。
ここ数年、新型コロナの影響でオンサイトでの学会もほとんどなかったし、学生さんが大勢の前で話をする機会が著しく減ったせいなのかもしれない。

打ち合わせからこっち、反省した学生さんからはちょくちょくメールが届いていて、データが送られてきている。
そろそろ真面目に論文を書かないと、流石に言い訳できない状況になりつつある。
彼の立場を守るためにも、僕にできることはそれしかない。
まさか、なかなか論文を書き始めない僕を見兼ねてあえてこの状況を作ったのだろうか。
まんまと相手方の先生の術中にハマっている気がしてきた。