童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

「徹子の部屋」2016年BEST3

今年に入ってから、HDDの中を整理しているときにふと気が付いた。
2016年の「徹子の部屋」を、一回も漏らすことなく観たことに。

僕は、テレビに出ている人では徹子さんとタモリさん以上に面白い人はいないと思っている人間だ。
さらにもっと言うと、インタビュー番組と生放送も大好きである。
したがって、「テレフォンショッキング」と「徹子の部屋」は僕の大好物だった。(徹子の部屋は生ではないが編集なしなので)
もちろん、時には恐ろしくつまらない回もあるのだが、最早、つまらなくても良いのだ。
毎回面白いものを見せてもらおうなんてエゴが過ぎる。

「笑っていいとも」が終了してしまった今、「徹子の部屋」を録画して観続けている。
とはいえ、基本、料理しながら録画を流すスタイルなので、ちゃんと観ていたかと言われると微妙だが、欠かさず録画していたということが我ながらスゴイ。
長期の出張がなかったことも幸いした。
もう今年に入って2週間が経とうとしているこのタイミングで、去年観た「徹子の部屋」の中から、独断と偏見によって勝手にBEST3を選んでみた。

第3位 ゲスト「永六輔大橋巨泉」2016年2月4日放送

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2016年でこの回を外すわけにはいかないだろう。
ラジオの鉄人・永六輔さんとテレビの鉄人・大橋巨泉さん、そして日本初のテレビ女優黒柳徹子さんの夢の競演である。
しかも、永さんも巨泉さんもこの年の7月に相次いで亡くなっているのだから、本当に貴重な回だった。

内容も素晴らしかった。
何せ、一緒にずっとテレビを支えてきた3人なので、気心も知れていて話題が豊富。
冒頭から貴重な渥美清さんの名刺が飛び出したり、永さんも徹子さんも感極まって涙ぐむシーンがあるなど、見所の多い回だ。
巨泉さんの披露する徹子さんの伝説的な天然エピソードも良い。
ちょうど、この回の放送があった後、4月からNHKで「トットてれび」が始まったので、タイミングも良かったと思う。
想像したくないが、徹子さんもいつかは…と思うと、本当に不安になってしまう。
とにかく体調にだけは気を付けて、今後も活躍してもらいたい。

第2位 ゲスト「浜木綿子」2016年5月23日放送

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浜木綿子さんは、かつて宝塚歌劇団のトップスターで、女優に転身してしばらくしたところで歌舞伎俳優の市川猿之助(現在は猿翁)さんと結婚。
そして、みんな大好き、俳優の香川照之さんをご出産された方だ。
ところが、息子である香川さんが1歳そこそこの頃に、夫は不倫相手(しかもW不倫)藤間紫さんのところへ家出。
彼女は、1年夫の帰りを待つも、戻ることはなく結局離婚。
その後は母一人、女優を続けながら香川さんを育て上げるという、大変な過去をお持ちの方だ。

この回の見どころは、やはり香川さんの役名が話題になった部分だろう。
香川さんが歌舞伎の世界に入る際、やはり芸名をどうするかということが話し合われたようだ。
現在、香川さんは「香川照之」と歌舞伎名の「市川中車」の両方を使っている。
市川中車」に一本化せずに、「香川照之」という名前を残したことには、強い浜さんの希望があったようだ。
考えてみれば当然だろう。
手塩をかけて育てた息子が、自分たち母子を捨てて勝手に出て行った元旦那の芸の世界に入るということですら、どんな気持ちで受け止めただろうと思う。
それに加えて名前まで、というのはやはり承服しかねるところが大きかったようだ。
一本化するつもりだった香川さんに「私の目の黒いうちは残しておいてください」と頼んだ、という話はなかなか胸に来るものがあった。

これらの話題が、決して湿っぽくなることも無く、からっ風が吹くような空気の中で進行していく。
様々な苦労を経験されていても、凄く朗らかでチャーミング。
徹子さんの急なジャブにもおどけて返す余裕がある。
気風の良さというか、気丈でさっぱりとした明るさが滲んで、この回を通して大ファンになってしまった。

香川さんが歌舞伎界に入るということで、46年ぶりに元旦那に会ったというエピソードも、単純に面白い話として話題に挙がる。
その時の会話というのが傑作だ。

浜さん「しばらくでした」

猿翁さん「あっ…しばらく。照之を立派に育ててくれてありがとう。大変でしたね。」

浜さん「…大変でした」

そりゃあ、大変だったよねっていう。
それを徹子さんと二人で笑い合っているのを観て、僕は大変感動したのだ。
どんなに辛くて苦しいことがあっても、彼女のように話せる自分でありたいと強く思った。

第1位 ゲスト「ムロツヨシ」2016年5月27日放送

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今や、舞台にドラマに映画に引っ張りだこになったムロさんゲスト回だ。
元々、ヨシヒコで彼の存在を知り、この回も面白い人だよな位のつもりで観て、うっかり大感動を味わってしまった。

とにかく彼の生い立ちのエピソードが素晴らしい。
4歳の時に両親が離婚。
母親とはそれ以来、一切会うことはなく絶縁。
父親は、親権をとったにも関わらず彼を親戚の家に預けて交際している女性の家へ行ってしまった。
この父親はさらにその後も結婚離婚を繰り返して、そのたびにムロさん自身も弟妹ができたり、実の姉がいなくなったり、隣に住んだり、とにかく振り回され続ける。
そして20歳位でついに親戚と父親の間の折り合いがつかなくなり(当然だが)、彼は親戚の家を選んで父親とも絶縁してしまう。

書いていても思うが、かなりヘビーな生い立ちである。
ところが、この話を何の恨みも見せず、さらっと話してくれるのだ。
おそらくこの心理状態に行き着くには色々なことがあっただろうと想像するが、観てきたお芝居のあらすじを語ってくれるように淡々と語っている。
自らの半生を卑下したり、逆に持ち上げたり、同情を誘ってみたり、恨みがましく演出したりということがまるでない。
それらの体験があるから現在の自分がある、ということへの感謝だけが見えて、まるで仏様だと思ってしまった。
本名がかなり珍しい名前であったために、新しい家庭を築いているだろう母に迷惑をかけないよう「ムロツヨシ」という芸名にしたという話は、つくづく彼の人柄の良さを示している。
実質的に彼を育てた親戚の家が素晴らしかったのと、また彼が役者という道を選択したことが良かったのだろう。
それにしても、後半、彼が「自分の中に結婚願望が生まれない」という話をしたときは、他の人が言うのとはまるで違う説得力があった。

それ以外にも、この回はどこを切っても面白くて、僕の中では文句なしの第1位だった。
郵便局員になって欲しかったお祖母さんの反対を押し切って役者になり、その後、小泉孝太郎と親友になって、よもや郵便局を民営化させた元首相とさしでご飯を食べることになるとは、みたいな下りも最高だった。

 

 

これら以外にも、名作と呼べる回は幾つもあった。
世間が某不倫ゴシップで湧く最中にぶっこんできた「佐藤B作・銀平親子」ゲスト回(ご両人とも不倫して離婚)。
小津安二郎監督ごっこという最高の遊びを教えてもらった「小堺一機」ゲスト回。
素晴らしいテレビ昔話が聞けた「冨士眞奈美」ゲスト回。
若かりし徹子さんのモノマネが傑作だった「満島ひかり」ゲスト回。
やっぱりレミさんが一番強かった「平野レミ・森山良子・清水ミチコ」ゲスト回。
年末に全部持ってった感のある「ピコ太郎」ゲスト回。
枚挙に暇がない。

今年もできる限り、「徹子の部屋」を追いかけていくつもりだ。
個人的には、是非、ベッキーさんやSMAPメンバーに「徹子の部屋」へ出演していただきたいと思っている。
それから、「この世界の片隅に」がヒットしていることを受けて、のんさんと徹子さんの組み合わせも是非観たい。
徹子さんの舞台を観に行って既に二人は会っているとのことだし、実現可能性は低くないと期待している。