童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2023年11月3日

今日は仕事で久々に会う旧知の方々と話す機会があった。
新型コロナの蔓延もあってなかなか対面で話す機会も減っていたので、研究の話は勿論、お互いの近況を報告したり、他愛のない会話をしたり、実に楽しい時間だった。

そんな会話の中で、ちょっと恐ろしい話を耳にした。

とある旧知の女性研究者が居て、同世代ということでそれなりに親交があったのだが、少し前に彼女の研究室のメンバーが大きく入れ替わった。
それは自分も気付いていて、何かあったのかも知れないと気になってはいたものの、あまり詳しい話は聞けずにいた。
今日、その実態について聞いてしまった。

彼女の研究室は、一番トップにいる方が定年を迎えて数年前に引退している。
そのすぐ下にいる方が長年右腕として働いてきていて、彼女はそのさらに下の世代として雇われていた。
僕自身は、その研究室のトップと右腕の方には昔からお世話になっていて、正直同世代の彼女のことよりも良く知っていた。
いずれも優秀な研究者であり、かつ人格者だったと思う。

ところが。

どうやら彼女、右腕の方ととても相性が悪かったらしい。
ことあるごとにぶつかって、結局彼女はハラスメントを受けていると所属機関に報告、調査が入ることになったそうだ。
調査の結果は、明確なハラスメントがあったと判断できるような事実はない、ということだったそうだ。
とは言え同じ空間で働くのは問題だろうということで、右腕の方は同分野の別部署付となり、これまでの仕事は取り上げられてしまった。
結局彼はその後退職、今は研究業界から足を洗って一般企業に勤めている。

残った彼女は実質的に同研究室のトップに近くなっていて、自分より下の世代の若手たちを部下に従えている。
事実だけ拾えば、彼女が研究室を乗っ取った格好だ。
ちなみに現在部下の1人がやはり彼女と折り合いが悪いそうで、かつて右腕の方が移動させられた別部署に付けられていると言う。
今度は彼女の方がハラスメントを訴えられる立場になっているわけだが、全くその自覚はないらしい。
執行部からの注意があったことでより一層関係は悪化、負のスパイラルに陥っていると言うことだった。

実際にハラスメントがあったのかどうか、僕には良く分からない。
僕の良く知る彼らが彼女に対してハラスメントをするとは俄かには信じがたいが、ちょっとしたことだと思っても、彼女が深く傷つく言動や行動があったのかも知れない。
しかし、そうであるならば余計に、自分が訴えられる立場になった時はもっと慎重であるべきだ。
何か気に入らないことがあったって、排除でなく対話によって着地点を模索する努力をすることは、チームワークの基本である。
このままでは、彼女と一緒に何か大きな仕事をしたいと思う人は現れないだろう。

幸運にも今のところ自分の身近でこうしたことは起きていないが、チームで仕事をしている以上、いつ巻き込まれてもおかしくはない。
対話不能の状況に追い込まれた時、自分ならどうするか。
少なくとも即答はできない。
それにしても、人間関係のいざこざで研究室が一つ死を迎えたかも知れない。
話を聞きながら、恐いと同時にとても悲しい気持ちで相槌を打っていた。