童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2024年1月9日

明日から出張があり、今日は通常業務とその準備でてんてこまいだった。
本務の方が割と忙しくて、本当は出張に行っている場合ではないのだが、サボれない事情もあって仕方なく行ってくる。
主たる交通手段は飛行機。
1月2日に目撃したあの映像が何となく思い浮かんで、もうそんなことはないはずと頭では分かっていても何だか落ち着かない。
新幹線でも行けないことはないが、飛行機の方が安くて疲労も少ない。

そう言えば、研究者が学会や打ち合わせ、実験などで出張する場合、所属機関や自分の研究費によって交通費が賄われる。
かくいう僕も、今回は、自分の持っている競争的資金から出張旅費を出すことにしている。
こう書くと、研究費を使って遊びに行けて良い、と思われるかも知れない。
飛行機でビジネスクラスに乗っても、五つ星ホテルに泊まっても、旅費は全額賄われるのだろう、と。
実際には、全くそんなことはない。
飛行機は、余程高い役職(研究所長とか学長とか)に就かない限り、教授と言えどエコノミークラスにしか乗ることはできない。
宿泊費は、地域によって支給される上限額が厳格に決まっていて、高いホテルに泊まって足が出た分は、どんなに高額の研究費を持っていたとしても自腹を切るしかない。
アジア圏ならまだしも、物価が高い欧米の場合には、ホテル代が賄えないことなどザラにある。
そして、当たり前の話だが、交通費が嵩むと肝心の研究費が少なくなる。
だから皆、なるべく安い交通手段を選ぶし、コスパを気にして宿を選ぶし、不必要な延泊は絶対にしない。
それどころか、出張の事実を証明するための書類や写真の提出が求められるため、飛行機の半券もホテルの領収書も学会の参加証も、きちんと保管しておかなければならない。
多少所属機関によって異なる部分はあるかも知れないが、大した違いはないだろう。

一昔前ほどは大学の教授などへの幻想を持たれなくなってきているとは言え、それでもまだ研究費を使った出張と言うと、何か優雅なもののように思われている気がしてならない。
実態は、優雅とはかけ離れたものと言って差し支えない。
そもそも出張旅費は、まず自腹を切って帰着後の精算が基本になっている。
海外出張が続いた月などは、カードの引き落としがあり得ないことになる。
貯金に余裕のない学生の時などは、そもそもカードの上限額で航空券が買えない…などと言う事態も良く起きる。
日本は、自分達の研究をアピールする力が弱いなどと良く言われるが、こういう詰まらない仕組みの問題が足を引っ張っているのではないかと疑いたくなる。