童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2024年4月8日

早く「オッペンハイマー」を観に行きたいと思いながら、今日も達成できなかった。
やはり平日で3時間潰れると思うと、なかなか手が出しにくい。
上映時間が2時間半を超える大作が最近は多くて、映画のハードルが上がっている気がする。
確かに、その分きっちり楽しませてくれる作品が多いのは確かだが、ライトな映画ファンには辛いところだろう。
自分のように平日のレイトショーに行くような人間でも、観終わるともうヘロヘロになっている。

ワークライフバランスという言葉があるけれど、最近趣味の時間を楽しみながら、そのことを良く考える。
映画にしろスキーにしろ、趣味を楽しむにも体力がいる。
年齢を重ねて疲れやすくなってきた分、余計にそれを感じる。
読書やゲーム、果ては録り溜めたテレビ番組の録画ですら、こなすのが億劫に感じることがある。
仕事に疲れた現代人たちが、段々と無趣味になってスマホでぽちぽちガチャを回すことしかできなくなっていくのも無理からぬことだろう。
数年前に「花束みたいな恋をした」という映画で、就職した主人公が日々に追われて小説を読めなくなり、代わりに自己啓発本を読んだりぼーっとパズドラで時間を潰し始める描写があったが、何ともリアルな絵だった。
コスパやらタイパやらが重視されて、数年前よりも状況はもっと深刻になっている気がする。
自分も例外ではないと感じる。

こんな傾向が続くようでは、今素敵だと思っている文化芸術は、その内にどんどんと縮小してやがて死んでしまうのではないかという恐怖がある。
どこかで、もう一度、余裕とか無駄とか不要なものとかを再評価して向き合う必要がある気がする。
というところまで考えて、これはミヒャエル・エンデの「モモ」だと思い至った。
時間泥棒によって失われた時間を取り戻す少女の話。
「モモ」が出版されたのが1973年なので、すでにその時点で問題視されていたことなのだろう。
そして、未だその問題は解決されず、膨張し続けている。