童貞見聞録

アラサー超えてアラフォーのセクシャルマイノリティ童貞野郎が心に移りゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつけるブログ

2024年1月14日

おっさんずラブ」が帰ってきた、と言うことで、先日、録画していた第1話を観た。


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ファーストシリーズが放送された頃、流行りを追いかける形でハマって観ていた。
何ならブログに感想も残している。
あれから約5年半。
劇場版や別世界線のドラマはあったけれど、ドラマ版での続編は久しぶりとなる。

さて、1話を観てどうだったかと言うと、確かに面白いは面白いものの、不思議とかつてのようなハマり方はしなかった。
理由は二つあると思っている。

一つは、正直前作の続編として公開された劇場版が、あまりにも酷かったから。
完全なるテレビドラマの延長線で、スケールも狭くて映画館で観る必然性は全くなかった。
筋立てもそれっぽいシーンを繋げただけの粗末なもので、築き上げてきたキャラクターたちが全く活きていなかった。
スペシャルドラマくらいでやっておけば、そんなに腹も立たなかったのかも知れないが…
とにかくあの劇場版のせいで、少し魔法が解けてしまった感は拭えない。
ちょっとした脚本の粗も気になってくると言うか、愛らしく思えていたはずの荒唐無稽さも、少しノイジーに感じてしまった。

そしてもう一つ。
これは僕の勝手な好みの問題なのだけれど、やはりドラマは、片思いの時が一番面白いと思うのだ。
片思い至上主義と言っても良いかも知れない。
少女漫画もそう。
両思いになってからが長い作品は結構あると思うが、正直惰性に感じてしまう。
付き合ったけどすれ違いが…とか、お互いの色んな良いところ悪いところが見えてきて…とか。
まあ大事だと思うけれど、お互いの「好き」が確かめられた後の話には切迫感がない。
物語の駆動力が弱いと感じてしまう。
今シリーズも、まさにハルたんと牧の同棲からスタートしていて、既にウィニングランからのスタート。
同居のいざこざとか生活リズムのすれ違いとか価値観の相違とか。
言ってみればベタなトピックが、おっさんずラブのフォーマットで提示される。
目新しさはあっても、トピックそのものの既視感が強かった。

ただ、見方を変えれば、これは良いことなのかも知れない。
前のシリーズだって、ある意味、片思いに繋がるベタなものをおっさんずラブ的に調理していたと言われれば確かにそうだった。
その新奇性を弱く感じたとすれば、5年半前よりも、現在の方が格段におっさんずラブ的倫理観が浸透しつつあると言えなくもない。
誰を好きになっても良いし、同性愛だって別に珍しいことでもなくなった。
だから「おっさんずラブ-リターンズ-」にマンネリを感じたのではないか。
だとすれば、それは「おっさんずラブ」シリーズが5年半かけて醸成した価値観であり、むしろ誇って良いことかも知れない。